◇国内女子◇ニトリレディス ゴルフトーナメント 最終日(31日)◇北海道CC大沼C(北海道)◇6955yd(パー73)◇…

30代初優勝を挙げた鈴木愛(Atsushi Tomura/Getty Images)

◇国内女子◇ニトリレディス ゴルフトーナメント 最終日(31日)◇北海道CC大沼C(北海道)◇6955yd(パー73)◇曇り(観衆1700人)

母美江さんに“小言”を食らったのは6月「アース・モンダミンカップ」のころだ。「練習量、足りてないんじゃない?」。鈴木愛と言えばラウンド後、真っ暗になるまで練習グリーンに居座る練習の虫。2013年にプロになってから、それが代名詞だった。以前なら「やってるわ!」とカチンと来たはずだ。ところが「やっぱりそうかなあ…」と素直に聞き入れてしまった。

昨季序盤の3月「明治安田レディス」「Vポイント×ENEOS」で2連勝し、5月に30歳になった。「これからは練習の量より質を高めていきたい」とシフトチェンジした。ある意味で、それは成功だった。2024年の平均ストロークは70.8909。2度目の賞金女王になった2019年の後、20-21年のコロナ禍シーズンで崩れた調子は復調し、2年連続で71を切った。しかし、勝てない。優勝争いの最終日前夜、自信満々だった過去がウソのように「最後までもちそうにない」ときまって不安に襲われた。「質を上げても、量が足りていないのかな」と薄々感じていた。

「以前は “ここまで練習したから大丈夫だ”と思っていたので。やっぱり練習しないと(量をこなさないと)体に入ってこない。調子が良くても染みつかない」。1ラウンドだった練習Rを2Rに増やし、プロアマ戦と合わせて3Rこなし本番に臨むスタイルに戻した。練習量はやって1時間から最低1時間半にした。今週は移動日の月曜は休み、火曜に1R、水曜にプロアマ戦だったが、2日とも居残った。

首位と3打差13位で迎えた最終日、最終組の4組前を回った。「最近は“優勝、優勝、優勝”と思って、優勝への意識が強すぎたので、今日は“絶対にいいゴルフをする。絶対に5アンダー(スコア68)で回る”と決めて、それで負けたらしょうがないって」

2つ伸ばして入ったサンデーバックナインで、ギアが上がった。14番(パー5)で121ydから9Iで奥2mにつけ、430ydで最長パー4の15番は166ydを5Uで奥6mに運び、流し込んだ。実測198ydで最長パー3の17番は5Wで5mにつけ、カラーからスライスラインをジャストイン。通算12アンダーで抜け出して、後続3組の上位勢を抑え込んだ。

通算21勝目で最終日逆転優勝は7度目だ。もちろんうれしいが、4日間競技で勝てたことがもっとうれしい。コロナ禍以降、直近の4勝中、21年「資生堂レディス」は36ホール短縮競技、23年「meijiカップ」が3日間競技、昨年「Vポイント×ENEOS」は45ホール短縮競技。「練習量を増やしたけど、そんなにすぐ結果が出ると思ってなかった。ちょっと早かったです」。30代で飾った初優勝が4日間大会だったのは、きっと大きな財産になる。(北海道七飯町/加藤裕一)