次回のWBCでは大谷翔平らの試合を地上波テレビで観ることは叶わないのか(C)Getty Images 米大手動画配信サー…

次回のWBCでは大谷翔平らの試合を地上波テレビで観ることは叶わないのか(C)Getty Images

 米大手動画配信サービス『Netflix』が来年3月に開催される第6回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の日本国内での独占放送権を獲得したことを受け、ファンの間で激しい論争が巻き起こっている。韓国メディア『OSEN』は、現地8月31日までに「大谷翔平に沸いた日本。MLBからの請求に『裏切られた気分』」というタイトルとともに、この騒動を詳しく伝えている。

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 同メディアによれば、今年3月に東京で行われたMLB開幕戦(ドジャース・カブス2連戦)は日本国内で約2400万人が視聴し、同史上最高記録を樹立したという。関連イベントには45万人前後が来場し、ユニホームやグッズ関連の売上は、約60億円に達したという。『OSEN』はさらに、ロブ・マンフレッドMLBコミッショナーが「海外市場の中で最も核心は日本。潜在的には1500億円規模の価値がある」と語った発言を紹介している。

 また、MLBが米国内の視聴率や観客動員の停滞に危機感を抱き、海外市場への展開を急いでいると解説。その象徴が昨年の韓国・ソウルや今年の東京での開幕戦開催、そしてWBCだと分析している。こうした流れの中で『Netflix』が日本国内の独占中継権を手にして、地上波放送局が締め出されたことが「裏切り」と受け止められていると指摘した。

 同メディアは、日本野球機構(NPB)や読売新聞社が「独占決定には関与していない」と声明を出した点も報道。これまで放送権を担ってきたテレビ朝日などが排除され、ファンやメディアの反発が強まっている状況を伝えている。

 そして、今回の放映権料について『OSEN』は、前回大会の約30億円から一気に5倍、約150億円に膨れ上がったと報道。『Netflix』にはすでに日本で1150万人前後の契約者がいて、月額収入は183億円規模。仮に100万人の新規加入者が1年継続するだけでも約190億円の追加収入が見込め、投資回収は十分可能だと分析している。

『OSEN』が特に注目しているのは、日本メディアがこの出来事を「黒船」に例えている点だ。19世紀半ば、ペリー艦隊の来航は日本の鎖国を終わらせ、明治維新へとつながる歴史的転換点となった。今回の『Netflix』独占放送も、長らく国内メディア環境を支配してきた地上波テレビにとっては、同じように時代を画する衝撃と受け止められているという。

 地上波放送局がバブル期まで享受してきた絶対的地位が崩れ、OTT(オンライン動画配信)との競争時代が現実化したことを「黒船襲来」になぞらえる。その比喩が使われるほど、今回の決定が日本社会に与えるインパクトは大きいと強調している。

 半年前はドジャース・大谷翔平らの活躍で沸いていた日本のMLB人気。しかし、同メディアは「今春のマンフレッド(MLBコミッショナー)の言葉を思い起こすべきだった」と結び、日本市場を虎視眈々と狙うMLBの冷徹な計算を浮き彫りにしている。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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