大谷が当たり前のようにこなす二刀流を貫くことは容易ではない。だからこそ、現状の変化を求める声も上がっている(C)Gett…

大谷が当たり前のようにこなす二刀流を貫くことは容易ではない。だからこそ、現状の変化を求める声も上がっている(C)Getty Images

 二刀流として活躍する未来の野球人のために現行のルールはいかに変わっていくのか。球界内で「大谷ルール」と指摘される2つの規則が注目されている。

 投打二刀流であらゆる金字塔を打ち立ててきた大谷翔平。その規格外の活躍が国際的な話題となる中で、2つの新たなルールが誕生した。

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 ひとつは、2020年に施行された新たな枠の導入だ。「投手としてシーズン20イニング以上に登板」「打者でシーズン20試合以上に出場、または60打席以上」の条件を満たせば、「TWP(二刀流選手)」として登録できる。

 そして、もう一つが、先発投手が指名打者(DH)を兼務できるようになるというもの。こちらは23年から導入され、起用方法の幅をより広くしたものとなった。

 もっとも、現球界で本格的な二刀流に挑んでいるのは大谷のみだ。メジャーリーグでも、ドラフト時などに「大谷2世」や「新たな候補」といった逸材の存在が話題となるものの、日本が生んだ偉才の後を追う者は出てきていない。そのため、先述のルールの“恩恵”を受けているのは、大谷とドジャースだけとなっている。

 ゆえに規則内容が正しいのか否かは、米メディア内でも議論を起こしている。米野球専門YouTubeチャンネル『Foul Territory』のホストを務めるAJ・ピアジンスキー氏は、「ルールの仕組みを変えるべき」と持論を投じている。

「二刀流をやることは難しすぎるんだ。平均的な数字を残そうと思ってもメジャーリーグで続けるにはハードすぎる。なぜなら選手は普通のリカバリーができないからだ。でも、ショウヘイ・オオタニという男だけがこなせる。皆チャレンジはするけど、怪我をして打てなくなるか、怪我をして投げられなくなるかだ。本当にオオタニだけで、それ以外は誰も何も成し遂げていない。今の状態では不可能だからね」

 かつてMLBで2043安打を放った名捕手は、「歴史的にも唯一無二のスーパーアスリート」と評する大谷の実績を軽んじているわけではない。しかし、一人しか恩恵を受けていない現状が「正しくない」と指摘。より多くの二刀流挑戦者が現れるようなアイデアも提供している。

「オオタニが休んだことでルールは微調整された。でも、他の選手のためにも変える必要はある。いったいどうやって二刀流の基準を満たすんだ? 今のルールで求められている数字を『1シーズンで達成しろ』と言っても成立しないよ。最低2シーズンぐらいで持ち越せるようにしないと不可能だ。そもそも保有するチームも、オオタニのような選手じゃなきゃ、投手か打者の枠を減らしてまで無理をさせようとはしない」

 MLBの姿勢に疑問を投げかけたピアジンスキー氏は、「二刀流をやれる選手をチームが持ちたがるように、何らかのインセンティブを設けるべき」と指摘。二刀流選手を生む潮流を促すように“策”を講じるべきと訴えた。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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