◇国内男子◇Sansan KBCオーガスタ 2日目(29日)◇芥屋GC(福岡)◇7293(パー72)スターになりたいと…
◇国内男子◇Sansan KBCオーガスタ 2日目(29日)◇芥屋GC(福岡)◇7293(パー72)
スターになりたいとは思っていたが、まさかこんな形で注目されるとは…。「オレの最多スコアも14だよ」「プロもそういう時があるんですね」。ネットニュースについたコメントをひとつひとつ読みながら、発多ヤマトは「すごいことを、やってしまったんだな…」と肩を落とした。
前週「ISPS HANDA 夏の決戦・誰が一番強いんだトーナメント」3日目、後半の3番パー4で「14」をたたいて、大きく順位を落とした。1ホールのスコアとしては、ツアーワースト4位の記録。翌日会場に行くと、選手や関係者の間でもちょっとした話題になっていたようだ。「なになに」、「どうしたんだ」とからかいつつ、励ましの言葉をかけに集まってくる。「しょうもないプレーだったんですけど、ネタにしてくれて。ちょっと本意ではないけど、また頑張ろうって思えました」。望む形ではなかったが、これで“発多ヤマト”の名前を知ったゴルフファンもいたはずだ。
昨年初めてファイナルQTに進出し、今季レギュラーツアーに本格参戦する26歳。スターを夢見て、ツアーでの登録名は本名の八太大和(はった・やまと)から、知人のつてで芸能関係のプロデューサーに“発多ヤマト”とキャッチーな名前を考えてもらった。
目を引く名前とは裏腹に、言動はいたって謙虚で実直。今週は117位で予選を通過できなかったが、最後まで「14」の反省を胸にプレーした。「アマチュアの時は賞金は関係なく、1打でも上にと丁寧にプレーしていた。ゴルフってそういうものだなって。それを忘れず、頑張らないと」。思うようにいかなくても、投げやりになることは一度もなかった。
ロールモデルにする“スター”は2人いる。一人は東北福祉大で1学年上だった金谷拓実。「ここ一番の強さがあって、ゴルフの取り組みもマネしたいところがたくさんある」と、努力家の先輩は憧れの存在だ。もう一人は、プロレスラーのオカダ・カズチカさん。カリスマ性あふれるプロレス界のスターとは、知人を介して小さい頃から交流がある。スタート時に自分の選んだ入場曲をかけられる今週は、本人に許可をもらって「オカダ・カズチカ入場曲」を大音量で響かせた。
2人に近づくためにも、まず今年はシーズン優勝者らが集まる最終戦「日本シリーズJTカップ」への出場を目標に定めている。優勝者に「マスターズ」出場権が与えられることが発表された10月の「日本オープン」も、スターを目指す上で獲りたいタイトルの一つになった。「ビッグマウスかもしれないけど、『ええっ』って人が(マスターズに)行ったら面白い。それが、自分ならうれしいです」。次こそは、心地よい驚きとともに“発多ヤマト”の名前を響かせる。(福岡県糸島市/谷口愛純)