陸上の世界最高峰シリーズ、ダイヤモンドリーグ(DL)の年間上位者で争うファイナル最終日は28日、スイス・チューリヒであ…

 陸上の世界最高峰シリーズ、ダイヤモンドリーグ(DL)の年間上位者で争うファイナル最終日は28日、スイス・チューリヒであり、女子やり投げの北口榛花(JAL)は60メートル72で6位だった。3連覇を逃した。エリナ・ツェンゴ(ギリシャ)が64㍍57で制した。

■大きな一歩

 同じ最下位でも、北口の表情は8日前のダイヤモンドリーグ・ローザンヌ大会と明らかに違った。試合後には笑顔を見せ、「自分の中で大きな一歩になった」。

 1投目の56メートル62は、自己記録より10メートル以上の差がある。ただ、「久しぶりにやりが前に飛んだ感触があった」。

 6月に右ひじを痛め、復帰戦のローザンヌ大会では50メートル93。腕が空中で止まり、振り切れなかった。険しい表情で会場を引き揚げた。

 この日、けがの後では初めて思い切り投げられた。6投目は、満員の会場に手拍子を求めた。「最後ぐらい自分らしく投げようと思って」。復帰後最高の60メートル72を記録し、「(60メートル超えは)ボーナス」と手応えを得た。

 東京で世界選手権を迎えるシーズンに、苦難が重なった。6月には足のねんざもあったと明かした。「けっこう試合をスキップせざるを得ない状況になった。競技人生、こんな年もある。負けるもんかと思って練習してきた」

 今はひじの痛みはないという。が、再発には細心の注意を払う。「めっちゃ怖いです。次に痛めたら東京に出られない。それだけは絶対にやりたくない」

 連覇がかかる世界選手権前、最後の実戦が終わった。今後はトルコで合宿をする。東京には開幕直前に向かう。

 「元気な姿で日本のみなさんの前で投げたい。大丈夫な状態であれば、かなり自信はある」(チューリヒ=加藤秀彬)