噂されていた角田のキャデラック移籍は消滅した(C)Getty Images 2026年からF1にチームとして新規参入する…

噂されていた角田のキャデラック移籍は消滅した(C)Getty Images

 2026年からF1にチームとして新規参入するキャデラックF1チームは8月26日、ともに勝利経験のあるフィンランド出身のバルテリ・ボッタスとメキシコ出身のセルジオ・ペレスを初年度のドライバーに起用すると発表した。2人の年齢を足すと71歳で、しかも今季はシートを得られず浪人生活を送ったベテランで臨む異例の体制となり、その一方でドライバー候補の1人だったレッドブルの角田裕毅は落選の憂き目に遭った。

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 ボッタスはメルセデス時代に10勝を挙げ、ペレスはレーシングポイント(現アストンマーティン)、レッドブルで6勝。現行チームは積極的に若手を起用することが多いが、チームはいわゆる経験者採用に徹し、星条旗を背負う米国籍チームとして大きなPR材料となる米国人選手を起用することもなかった。

 自動車メーカー系のチームが車体も開発するレーシングチームとして参入する場合は、現在のメルセデスや、同じく新参入組のアウディ(現ザウバー)のように既存チームを買収して看板をすげ替えるか、かつてのトヨタのように自社で立ち上げてゼロからチームを運営していく2つの選択肢があるが、キャデラックは、新規参入が認められなかった米国チーム「アンドレッティグローバル」から引き継ぐ形になっており、前者も後者もあてはまるケースともいえる。

 エンジニア、メカニック、マネジメントスタッフらは他チームから引き抜かれることもあるが、経験も実績もないチームにとって、マシンのフィードバックができるボッタスやペレスといった選手は必要不可欠なのだ。

 かつて存在したマルシャF1チームでスポーツティングディレクターや最高経営責任者(CEO)を務めたグレアム・ロードン・チーム代表は「ボッタスとペレスのようにキャリアが豊富な選手を獲得することは我々の強い意思の表れだ。彼らはF1で成功するために必要なことを分かっているから」とコメントした。

 キャデラック入りを逃した角田も5年でF1の経験があるが、決勝最高位はデビューイヤーの2021年最終戦アブダビGPで獲得した4位。今季は序盤にレーシングブルズからトップチームのレッドブルに移籍したが、期待通りの結果を出すことができずF1での評価は急降下。来季のシート交渉合戦を意味するストーブリーグではアピールの材料がなく、キャデラックのシートを奪うことはできなかった。

 キャデラックは当面の間はフェラーリのパワーユニット(PU)を搭載し、数年後にキャデラックを製造展開するゼネラル・モーターズが携わる自社仕様に切り替える見通し。ボッタスはメルセデス、フェラーリのPU、ペレスはメルセデス、ホンダのPUを経験しており、ホンダしか知らない角田はさすがに分が悪かったといっていい。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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