陸上の世界選手権東京大会(9月13日開幕)の女子種目に出場予定の全選手を対象とした遺伝子検査を、85%を超える選手がす…
陸上の世界選手権東京大会(9月13日開幕)の女子種目に出場予定の全選手を対象とした遺伝子検査を、85%を超える選手がすでに受けた。28日、複数の日本メディアの取材に応じた世界陸連(WA)のセバスチャン・コー会長が明かした。
検査では、性分化の起点になるとされる遺伝子「Sry遺伝子」が含まれているかを調べる。検査は血液か口腔(こうくう)内による形で実施され、WAが関わる大会に出場する選手は現役中に1度、受けることが求められる。
検査で遺伝子が存在しなければ女子種目への出場が可能となる。
遺伝子が確認された場合は原則として女子種目への出場が厳しくなる。ただ、さらなる診断や検査を受け、専門の医師が認めれば例外的に出場できる可能性はあるという。
陸上界では、これまでも女子種目の出場資格をめぐる様々な課題に対応してきた。
WAが9月1日から導入する今回の新ルールについて、コー会長は「(性に関する)多くの異なる問題があるが、女子種目を守り、発展させていくために検査をすることにした」と説明。
「若い女子選手が生物学的なガラスの天井に阻まれ、国際的な成功が望めないと感じ、競技の道を閉ざされるようなことがあってはならない。大半の選手は支持してくれている」と語り、「選手が東京に集まるまでに、検査実施率が90%を超えることを期待している」と話した。
検査結果はプライバシー保護の観点から公表しない方針だ。本人にのみ通達され、各国・地域の陸上連盟にも共有されない。
またコー会長は、東京大会のマラソンや競歩で、酷暑によって選手の健康を損なうと医療チームが判断した場合、開始時刻を早める可能性を示唆。「現時点では想定されていないが、状況を注視していく」と話した。
2021年の東京オリンピック(五輪)では、記録的な暑さの影響で、札幌市での女子マラソンのレース前日に開始時刻を1時間早める変更があり、波紋を呼んだ。(遠田寛生)