9月5日、ラグザス presents 第32回 WBSC U-18 野球ワールドカップ(試合は7回制)が開幕する。14日…

9月5日、ラグザス presents 第32回 WBSC U-18 野球ワールドカップ(試合は7回制)が開幕する。14日の決勝戦まで最大9試合戦う。

 2大会連続の世界一を狙う日本代表。重要となる投手9人、投手兼任可能な野手2人の11名の特徴を紹介し、起用法を考えていきたい。

プロ志望の超高校級投手カルテットが軸か

 【投手】9名

西村 一毅(京都国際)

坂本 慎太郎(関東第一)

石垣 元気(健大高崎)

奥村 頼人(横浜)

末吉 良丞(沖縄尚学)

下重 賢慎(健大高崎)

早瀬 朔(神村学園)

森下 翔太(創成館)

中野 大虎(大阪桐蔭)

【野手兼任】2名

岡部 飛雄馬(敦賀気比)

辻 琉沙(履正社)

 速球派、技巧派、先発・中継ぎをこなせる万能型がずらりと揃い、バラエティ豊かな投手陣である。

 今大会はマークすべき相手はアメリカ、韓国、台湾の上位3カ国。アメリカ、台湾とは別グループで、予選ラウンドの第2戦の韓国は勝負の一戦となる。

 力で押せるのは、150キロ右腕・早瀬 朔(神村学園)、150キロ右腕・中野 大虎(大阪桐蔭)、148キロ左腕・奥村 頼人(横浜)、155キロ右腕・石垣 元気(健大高崎)の4人だ。

この4人はプロ志望を掲げる超高校級の投手たちである。

 早瀬は常時140キロ台後半の速球、130キロ台中盤のスライダーで圧倒する本格派右腕。フォームのバランスが整えば、先発で活躍しそうだ。

 奥村は140キロ台中盤の速球、チェンジアップのコンビネーションで翻弄する。日によってフォームのバランスにばらつきがあるが、自分のバランスで投げることができれば、先発投手を任せられるだろう。投げない時は野手としても活躍しそうだ。

 中野は伸びのある140キロ台中盤の速球、切れのあるスライダーを投げ込む本格派。どの試合でも安定して試合を作れる投手であり、大事な試合でも任せられるメンタルの強さがある。

 156キロ右腕の石垣は、アメリカのパワーピッチャーに負けないほどの剛速球の持ち主。将来を考え、健大高崎ではあまり長いイニングを投げなかった石垣の使い所がポイント。試合後半のクローザーが適任か。

キーマンとなりそうな実戦派左腕コンビや野手兼任投手の起用

甲子園優勝投手となった末吉

キーマンとなりそうな実戦派左腕コンビや野手兼任投手の起用

 実戦力の高い西村 一毅(京都国際)、下重 賢慎(健大高崎)の両左腕はチェンジアップを決め球にする投手だ。二人の違いだが、西村は伸びのあるストレートを織り交ぜ、三振を多く奪う投手で、下重は低めに沈む球を多用し、打たせて取る投球を得意とする。

 この夏、2人とも直球、チェンジアップの精度が良くなかった。コンディションを調整して、本調子で投げることができれば、強豪国を抑えるキーマンとなりそうだ。大会に入るまでの壮行試合で仕上がりの良さを見せたい。

 森下 翔太(創成館)は安定して140キロ台中盤の速球、キレのあるスライダーで打者を翻弄する速球派右腕。先発、リリーフと万能な活躍を見せてくれそう。大会までの壮行試合などの内容が良ければ、先発を任される可能性も高い。

 坂本 慎太郎(関東第一)は器用な投球ができる技巧派左腕だが、打撃センス、走塁技術は秀でたものがあり、今大会は野手メインの起用となりそうだ。

 決勝戦進出を想定した場合、予選ラウンド5試合で、35イニング、スーパーラウンド3試合で21イニングと計56イニングをこなす必要がある。1試合あたり41球を超えれば、中1日を設けないといけない厳しい球数制限がある。疲労が抜けない末吉 良丞(沖縄尚学)はあまり投げられないことを想定すると、末吉を除いた9投手で運用するのは苦しい。

 そこで内野手を兼任する岡部 飛雄馬(敦賀気比)、辻 琉沙(履正社)の2人は貴重な働きを見せてくれそうだ。岡部は福井大会、甲子園でも登板経験があり、135キロ前後の速球、スライダーで打たせて取る。普段、二塁手を務める辻は大阪大会準決勝・大阪桐蔭戦で先発したアンダースロー。速球派が多い中での貴重なアンダースローであり、出番があるだろう。

 そして甲子園優勝左腕・末吉。まずは甲子園での疲労を抜いて、いかにして本調子で投げられるか。

 過去は球数制限が厳格ではなく、それまでの日本代表は結果を残している投手を酷使してしまい、大会後に故障した選手もいた。

 現在の制度になってから、規定の投球数を超えれば休まなければならないルールのため、短期間で長いイニングを投げるリスクが減ったのは救いだ。

 末吉は調子が良ければ、少ない球数で制圧できるボールの強さ、制球力の高さがある。その調子まで持っていきたいところだ。

 3年生投手9人が実力を発揮できれば、末吉に頼らなくても勝てる投手陣であり、将来のことを考えて起用は限定的にしたいところだ。

 世界一となった23年のワールドカップは投手運用がすべてうまくいった。エースだった前田 悠伍(大阪桐蔭-ソフトバンク)だけではなく、どの投手も好投したことで、先発、中継ぎのローテーションがうまくハマった。今大会も全投手が好投し、世界一を狙える布陣になることを期待したい。

【高校日本代表の大会スケジュール】

9月5日 イタリア 18:30 沖縄セルラースタジアム那覇

9月6日 韓国 18:30 沖縄セルラースタジアム那覇

9月7日 キューバ 14:30 沖縄セルラースタジアム那覇

9月8日 南アフリカ 18:30 沖縄セルラースタジアム那覇

9月9日 プエルトリコ 18:30 沖縄セルラースタジアム那覇

<予選ラウンド2位以上ならばスーパーラウンド進出>

9月11日 スーパーラウンドor順位決定戦

9月12日 スーパーラウンドor順位決定戦

9月13日 スーパーラウンドor順位決定戦

<対戦成績は上位国の対戦成績が持ち越し>

9月14日 3位決定戦 11:00 沖縄セルラースタジアム那覇

     決勝戦 14:00 沖縄セルラースタジアム那覇

【今大会の球化制限ルール】

■1日あたりの最大投球可能数:105球まで

■連投が不可となる1日の投球数:41球以上

■3連投が可能となる条件:2日間の合計が40球以下

■1日あたりの球数に応じた休養日数

41~55球:中1日を空ける

56~75球:中2日を空ける

76~90球:中3日を空ける

91~105球:中4日を空ける