野球振興の事業を企画・運営する一般財団法人「球心会」代表を務める元プロ野球選手の王貞治さん(85)が26日、「球都桐生…
野球振興の事業を企画・運営する一般財団法人「球心会」代表を務める元プロ野球選手の王貞治さん(85)が26日、「球都桐生ウィーク2025」で盛り上がる群馬県桐生市を訪れた。野球関連の施設を視察したほか、地元少年野球の選手たちにエールを送った。
球心会は5月、プロ・アマ問わずに野球の未来を切りひらくことを目的に設立。同市は野球を活用した地域活性化に取り組んでおり、理念が共通していることから、地方都市が持つ可能性を探ろうと来訪が実現した。
王さんは、東武鉄道の特急で野球場をイメージした新桐生駅に到着。小倉クラッチ・スタジアム(桐生球場)や野球の「聖地・名所150選」に選ばれた桐生新川球場跡(現新川公園)を回り、スポーツ科学の最新機器を導入した施設「球都桐生野球ラボ」を見学した。
地元の中学生硬式野球クラブ「桐生南ポニーリーグ」の練習を見守った後、選手約100人に「野球は一気にうまくはならない。基本はキャッチボール。相手の胸にしっかり投げ込むことが大切。地域が熱心に支えてくれる恵まれた環境で、がんばって欲しい」と助言。
旧桐生南高校の跡地を活用し、23日にオープンした「球都桐生歴史館」では、王さんが1956年6月9日に早稲田実業の1年生投手として桐生高校と対戦した際のスコアブックや実際にマウンドに上がった新川球場の写真を懐かしそうに眺めていた。
視察後、王さんは「ヒットを1本打っててよかった」と笑いながら話し、「桐生が日本の野球を支えてくれると思うほど組織的にしっかりしていた。選手たちは目標が立てやすく、うまくなる環境が整っている。野球界の将来が楽しみ」と話していた。
また、荒木恵司市長は「野球を通じ、人が育ち、地域が変わる。王さんの来訪は桐生にとって『歴史的な一日』。未来へ向けたさらなる一歩にしたい」とコメントした。
球都桐生ウィーク2025は9月10日まで。31日には市内中心部でフードスタジアムが開催されるほか、最終日の午前10時からはJR桐生駅で、大人気野球漫画「ダイヤのA」主人公の沢村栄純(えいじゅん)のモニュメントお披露目式が開かれる。日程などは市のホームページなどで公開している。(小幡淳一)