◇国内女子◇ニトリレディス ゴルフトーナメント 初日(28日)◇北海道CC大沼C(北海道)◇6955yd(パー73)◇…
◇国内女子◇ニトリレディス ゴルフトーナメント 初日(28日)◇北海道CC大沼C(北海道)◇6955yd(パー73)◇曇り時々晴れ(観衆1018人)
国内女子ツアー史上最長コースで“飛ばないプロ”が輝いた。青木瀬令奈が5バーディ、1ボギーの4アンダー「69」で回り、上位発進した。終盤8番(パー3)で奥ラフに外し、アプローチが緩んだ唯一のボギーをたたき「できればノーボギーで終わりたかったですけど」とこぼすが、表情は満足そうだ。
今季ドライビングディスタンス222.46ydは、261.77ydでトップの穴井詩に39.31yd及ばぬ95位。それでも「飛ばし屋有利とは思いません。パー4がそんなに長いわけじゃない。長いパー5はむしろ私にはありがたい。3打目で100yd以上残ってしっかり打てるし」と総ヤーデージ7000yd弱の“見た目”に惑わされなかった。
午前7時20分スタートの10番、朝露に濡れたグリーンで上り6mをショートせずに打ち切りバーディを奪ってイメージをつかんだ。11番で3mのパーパット、12番で12mのバーディパットを決めた。最長のバーディトライは16番(パー5)。「距離感が難しいなとは思ったけど、ラインは読めていたので」と20mの超ロングパットをねじ込んだ。
グリーンを外してもピンチと思わせない。430ydの15番は2打目を花道にショートし、グリーンまで約3ydから約20m先のピン手前2mまで寄せて、パーセーブ。コーチ兼帯同キャディの大西翔太氏はウェッジを勧めたが「自己責任でいくから」と自分の感性を信じ、アプローチでパターを使った。17番(パー3)と18番(パー5)では一転して、いずれも35yd前後のアプローチを58度のウェッジを使用。キャリーとランを半分ほど出して寄せるピッチ&ランやランニングではなく、高い球のキャリーで寄せた。
「私、アプローチは(58度のウェッジ)一択なので。一瞬、9番やPWも考えたけど“練習でやらないこと”をやるのもおかしい」。そんな決断を後押ししたのは、プロアマ戦で同組ゲストにもらった助言だ。順天堂大医学部特任教授の天野篤さん。前週男子ツアーで優勝した小平智、この日「66」で回った永井花奈らにメンタル面でサポートした経験があるそうで、青木が「私にも助言をください」と頼むと2つ与えてくれた。
「練習通りのことをすること」と「見栄を切る」。前者はアプローチで実践したが、プレー全体に役立ったのは後者。青木は「歌舞伎で言う“見栄を切る”ってあるじゃないですか。ああいう風に自信を持って、周りを自分の得意分野に取り込んでいくってことらしいです」と言う。その通り、パター、アプローチという小技のスキルで“モンスターコース”を制圧してみせた。
「私のスタイルの極みは申ジエ(韓国)さんと思います。(飛距離など)不得手なものではなく、得意なものを伸ばしていく。コースが長くても7000yd弱なら対応できます」。残り3日、天候やコース状態次第の部分はあるが、自信を持って自分のゴルフをやりぬく思いは揺るがない。(北海道七飯町/加藤裕一)