■後半終了間際に水戸が勝ち越し【J2リーグ第27節 8月23日 19時03分キックオフ 鳥栖 2ー2 水戸 駅前不動産…

■後半終了間際に水戸が勝ち越し

【J2リーグ第27節 8月23日 19時03分キックオフ 鳥栖 2ー2 水戸 駅前不動産スタジアム】

 先が読めない戦いが続いている。J2リーグは8月23、24日に第27節が開催され、首位の水戸ホーリーホックは23日、7位のサガン鳥栖とアウェイで対峙した。前半を1対0で折り返した水戸は、後半開始早々に同点とされ、その後も自陣での戦いが続く。後半からシステムを変えてきた相手の選手を捕まえきれず、なかなか相手ゴールへ迫ることができなかった。

 それでも、ここで2点目を簡単に許さないことは、水戸が好調な要因なのだろう。前節までの失点は23で、これはリーグ最少3位タイだ。複数失点を6試合にとどめていることで、接戦をしぶとく勝ち切ることができている。

 水戸の森直樹監督は80分までに交代カードを使い切り、プレー強度と運動量を維持していく。後半はなかなかチャンスを作れないまま88分を迎えると、ここで一歩前へ出る。

 左サイドから途中出場の新井瑞希がクロスを入れると、相手選手がクリアしたボールを大森渚生が左足で叩く。ペナルティエリア右から放たれたボレーシュートが、ゴール前の密集をすり抜けてゴールへ吸い込まれていった。

 この得点の流れは、大森の右CKから始まっている。キッカーを務めた彼はそのまま敵陣に残っており、左サイドからのクロスに対して大外で、フリーで待つことができたのだった。

 勝負は決まった、と誰もが思っただろう。しかし、ここからさらに試合は動くのだ。

■ラスト、踏ん張り切れなかった水戸

 時計の針が96分を過ぎたところだった。

 自陣左サイドで鳥栖に直接FKを与えた水戸は、ゴール前へ入ってきたこのボールをクリアするものの、ボールは右サイドへ流れて鳥栖が支配する。FKに対して横一列に並んで対応していた水戸は、クロスに対しても同じ陣形を整えようとするが、大外で相手選手に競り負けて折り返されてしまう。

 これだけ左右に振られると、守備側の目線はどうしてもボールに集まりがちになる。ゾーンの列の前へボールは落ち、フリーになっていた鳥栖FW酒井宣福にプッシュされてしまったのだった。ジュビロ磐田に1対3で敗れた前節に続いて、水戸は複数失点で2対2のドローに終わったのである。

 この日の結果を受けて、水戸は勝点を「52」とした。2位は勝点48のジェフユナイテッド千葉、3位は勝点48のV・ファーレン長崎、4位は勝点47のRB大宮アルディージャ、5位は勝点47の徳島ヴォルティス、6位は勝点46のベガルタ仙台となっている。仙台は千葉を1対0で下し、6戦ぶりの勝利をつかんだ。

 現在のJ2でもっとも勢いに乗っているのは、3位のV・ファーレン長崎だ。高木琢也監督の就任後は8戦負けなしの6勝2分と、勝点獲得ペースを一気にあげてきた。25節の北海道コンサドーレ札幌戦は90+7分、26節の鳥栖戦は83分、今節のレノファ山口FC戦は90+6分に、それぞれ決勝点を奪っている。チームの勢いが加速するような勝ちかたしているのだ。

 8月に入って元鹿島アントラーズのMFディエゴ・ピトゥカを獲得し、中盤に厚みを持たせた。山口戦ではピトゥカ、MFマテウス・ジェズス、FWフアンマ・デルガドが先発し、ドリブラーのMFエメルソンが後半開始から出場して攻撃のリズムを変えた。クオリティの高い外国人選手を、高木監督が巧みに使い分けて勝利を手繰り寄せている印象だ。

 長崎はRB大宮、千葉、磐田、水戸、徳島との上位対決を残している。経験豊富な指揮官のもとで、J2屈指のタレント集団がJ1昇格争いを左右する存在となってきた。

いま一番読まれている記事を読む