沖縄尚学が初優勝をおさめた今年の甲子園。甲子園出場チームはどうしても地方大会で敗退したチームよりも新チーム始動が遅くなっ…

沖縄尚学が初優勝をおさめた今年の甲子園。甲子園出場チームはどうしても地方大会で敗退したチームよりも新チーム始動が遅くなってしまう。そのため、チーム作りが進まず、秋季大会早期敗退が起こりやすい。昨夏優勝の京都国際、準優勝の関東第一もそうだった。昨秋、今春ともにベスト8まで残れず、夏、ノーシードで迎えたのである。しかし今年は、新チームでも躍進が期待できる甲子園出場校が多くある。

沖縄尚学は2枚看板以外にも潜在能力の高い投手を揃える!

 甲子園初優勝の沖縄尚学は優勝に貢献した末吉 良丞投手、新垣 有絃投手のダブルエースが残るのが大きい。夏の甲子園までは末吉に頼りがちだった投手陣も、新垣が22回を投げ、24奪三振、防御率0.82の快投で、大きく成長を見せた。末吉は甲子園での激闘に続き、U-18代表にも選ばれたため、9月20日から始まる秋季県大会では本調子で投げられないことが想定される。新垣が秋のエースとして投げることになるだろう。

 ダブルエース以外の投手陣の奮起も期待される。138キロ右腕・田場 典斗、最速139キロ右腕・大城 諄來、夏はベンチ外だったが、センバツで登板した左腕・久高 大瑚の3投手は潜在能力は非常に高い。ただ、野手は総入れ替えとなる。投手陣の持ち味を引き出した宜野座 恵夢捕手に代わる捕手の存在が重要だ。

 新チームは甲子園メンバーとは別部隊で8月の新人中央大会に出場しており、ベスト4。甲子園メンバーとうまく融合し、秋も快進撃を期待したい。

田山(仙台育英)

全国制覇を狙えるのは横浜と仙台育英か

 新チームで期待が大きいのはベスト8の横浜だ。甲子園を経験した1、2年生が多く残る。152キロ右腕・織田翔希、ショートを務めながら140キロ後半の速球を投げる池田 聖摩内野手、高いミート力と守備力を兼ね備えたセンター・江坂 佳史外野手、勝負強い打撃と堅い一塁守備を見せる小野 舜友内野手、外野を兼任していた植村 直太朗捕手の5選手が攻守の中心となりそう。

 勝ち進む上でも、織田以外でも公式戦で任させられる投手の存在が重要だ。

 前チームからベンチ入りの経験もある東濱 成和投手(2年)、高浦 洋祐投手(2年)の両右腕はともに140キロを超える速球を投げ込み、潜在能力は高い。1年生投手では夏の神奈川大会でも好投を見せた左腕・小林 鉄三郎投手、春季県大会、関東大会でも登板した146キロ右腕・福井 那留に注目だ。前チームまで経験がなかった投手の浮上もあるのか。

打線は甲子園でベンチ入りした強肩強打の川上 慧外野手(1年)、神奈川大会でベンチ入りした田島 陽翔内野手(1年)に注目。センバツでは三塁コーチャーでベンチ入りした林田滉生内野手(2年)は投手もこなせるマルチプレーヤーだ。順調にチーム作りが進めば、関東大会でも優勝を狙えるだろう。

 来年、全国制覇を狙えるのはベスト16に入った仙台育英だ。センターラインに多くの選手が残る。甲子園でファインプレーを見せた二塁・有本豪琉(1年)、遊撃・砂 涼人(1年)、正捕手候補の倉方 湊都(1年)の守備力の高さは計算が立つ。打線では、田山 纏外野手(2年)、甲子園ではベンチ入りを外れたが、6月の招待試合でスタメン出場していた小久保 颯弥(1年)は期待のスラッガーだ。甲子園でもセカンドスタメン出場した今野 琉成内野手(2年)も高い守備力を誇る。

 投手では、145キロ左腕・井須 大史(2年)、甲子園でも登板があった145キロ右腕・梶井 湊斗(2年)の2人が中心だ。前チームの主力組の遠征にも帯同していた1年生左腕・日高 龍之介は135キロ前後の速球を投げ込む好左腕で、スライダーの切れ味も鋭い。経験者が多く、甲子園出場チームの中では一番計算が立つ。圧倒的な戦いを見せることができるか注目だ。

 荒井(智弁和歌山)

甲子園初戦敗退の智弁和歌山はすでに新人戦で2試合連続コールド勝ち

 ベスト4の県岐阜商は甲子園登板4投手が全員2年生だ。144キロ右腕・柴田 蒼亮投手、甲子園でも粘り強い投球を見せた豊吉 勝斗投手、和田 聖也投手、渡辺 大雅投手の3人の左腕投手が残るのは強い。野手では3番サード・内山 元太内野手、2番ショートの稲熊 桜史と打撃の中心も残る。今回の快進撃を機に、甲子園常連校に成長できるか注目だ。

 同じくベスト4の山梨学院は今大会で成長を見せた194センチ右腕・菰田 陽生、143キロ左腕・檜垣 瑠輝斗投手の二枚看板が残る。菰田は初戦の聖光学院戦で7回途中まで投げ、ある程度長いイニングを投げられる見通しはたったが、肘を痛めた影響で投手運用は振り出しに戻った。軽傷ということだが、菰田ありきの投手運用をすると再発する可能性がある。

檜垣と今年の選抜でも登板した右腕・藤田 蒼海投手、この春の関東大会でベンチ入りした左腕・渡部 瑛太投手(1年)が中心か。野手は大幅に入れ替わるので、秋の県大会は手探りをしながら、経験値を積む大会になりそう。

 2回戦敗退の花巻東は二刀流の赤間 史弥内野手(2年)、大型スラッガー・古城 大翔内野手(2年)が打線の中心。智弁和歌山戦で完投勝利を収めた左腕・萬谷 堅心投手(2年)が残る。今の2年生から選手たちの力量の水準が上がっており、新チームにはどんなニュースターが出るのか楽しみだ。

 初戦敗退に終わったが、智弁和歌山にも大型選手が残る。甲子園初戦スタメンには、3番山下 晃平外野手(2年)、5番荒井 優聖内野手(2年)、6番松本 虎太郎内野手(2年)、7番山田 凜虎捕手(2年)、9番黒川 梨大郎内野手(2年)と2年生5人がスタメン出場し、セカンド・楠本龍生(2年)も残っている。攻守の中心が残っているので、戦力ダウンは少ないだろう。

 ただ、投手陣の顔ぶれは変わる。春の県大会からベンチ入りした140キロ前半の速球を投げ込む右腕・和気 匠太(2年)、打撃センスも高い左腕・井本 陽太(1年)が中心か。8月に行われている新人戦では2試合連続でコールド勝ちを収め、8強入りをしている。甲子園出場したチームではすでに公式戦を経験しているので、最も仕上がりが早いチームではないか。