J1の第27節は、4ゴールを挙げて勝利したチームが3つもあった。そのうちの2つ、柏レイソルと京都サンガF.C.の勝ち方…
■ダメージが大きい「敗戦」はどっちだ?
味の素スタジアムでのFC東京対京都サンガF.C.の試合(8月24日)が終わった後、『サッカー批評』でもおなじみの大住良之さんにこう尋ねられた。
「0対4で完敗するのと、2対0から逆転されて2対4で負けるのと、どっちがダメージが大きいだろうね?」
「0対4の完敗」というのは、この日のFC東京対京都の試合のことだ。
FC東京は、試合開始5分で早くもPKを奪われ(ラファエル・エリアスによる得点は8分)、さらに11分にはゴールキックからのつなぎの失敗でGKの金承奎(キム・スンギュ)がファウルを犯して2つ目のPK与えてしまう(得点は13分)。
早々に2点のビハインドとなったFC東京は反撃してチャンスも作るが、京都のGK太田岳志の好守もあって得点できず、前半終了間際の45分にロングスローの後の2次攻撃で3点目を失った。そして、81分にはまたもGK金承奎からのパスをカットされて、決定的な4点目を奪われた。
■日本人レフェリーにはできない「判断」
エルサルバドル人レフェリーのイバン・バルトン氏は、後半のアディショナルタイムを3分しか取らなかった。VARもあり、選手交代も何度もあり、さらに飲水タイムもあったのに、である。
もう、4点差がつき、たとえアディショナルタイムが10分あったとしても、FC東京が追いつく可能性はほとんどない。それなら、無駄に長いアディショナルタイムを取る必要はない。疲労がたまったまま、無駄に長時間プレーさせれば、ケガ人が出る可能性が大きい。
「それなら、早めに切り上げるべき」という判断だった。生真面目すぎる日本のレフェリーにはできない判断だった。
とにかく、「ゴールキックからパスをつないでビルドアップする」ことをコンセプトとしているFC東京が、GKやDFの間でのパス回しを狙われて失点を重ねたのだから、まさに完敗だった。
京都のチョウ・キジェ監督は記者会見の冒頭で、「日本ではゴールキックからつないでビルドアップするサッカーが評価されるが、相手のゴールキックはチャンスだと思っている」と、まず、その点を強調した。狙い通りに点を取った京都は、第27節終了時点で再び首位に立った。
大住さんが言う「0対4の完敗」というのは、この日のFC東京のことだった。
そして、「2対0からの逆転」というのは、金曜日(8月22日)に行われた柏レイソル対浦和レッズの試合のことである。
■逆転優勝のために「勝点3」が欲しい試合
勝点44で7位につけている浦和にとっては、かすかに残る逆転優勝の可能性を消さないために、どうしても勝点3が欲しい試合だった。
そして、5分にはCKから先制に成功する。
マテウス・サヴィオが蹴った鋭いキックが、柏がニアサイドに置いていたストーンの垣田裕暉に当たってファーサイドに飛び、待っていた長沼洋一が頭で決めた。浦和にとってはややラッキーな先制ゴールだった。
先制された柏だったが、15分が過ぎる頃には完全にボールポゼッションで上回って反撃を始めた。右サイドでは攻撃に参加してくるDFの原田亘、ウィングバックの久保藤次郎、シャドーの小泉佳穂が絡み、左サイドからはウィングバックとなって進境著しい小屋松知哉にシャドーの渡井理己が絡み、両サイドからチャンスを作ったが、浦和の最終ラインを崩せない。
ボールを持っている時間は圧倒的に柏が上回ったが、浦和のペナルティーエリアの前をパスが行き交うばかりで、決定機の数は多くなかったのだ。
こうして、浦和が1点リードしたまま迎えた43分には、右タッチライン際で浦和のマテウス・サヴィオがワンタッチで相手陣内深くをえぐるパスを出し、金子拓郎が持ち込み、最後は松尾佑介が決めて浦和のリードが2点に広がった。