例年になく、2年生が活躍したことでも話題を呼んだ今夏の選手権大会。優勝した沖縄尚学は、末吉 良丞投手、新垣 有絃投手の2…
例年になく、2年生が活躍したことでも話題を呼んだ今夏の選手権大会。優勝した沖縄尚学は、末吉 良丞投手、新垣 有絃投手の2年生コンビで全ての試合を投げ抜き、頂点に立った。『高校野球ドットコム』では末吉(沖縄尚学)、織田 翔希投手(横浜)、高部 陸投手(聖隷クリストファー)、堅田 徠可投手(高知中央)、菰田 陽生投手(山梨学院)を「2年生BIG5」として紹介したが、各ポジジョンで好選手が揃っていた。今回はそんな2年生選手のみで夏の甲子園ベストナインを選出してみた。
選出は以下の通り(※各校1人ずつ)
右投手:織田 翔希(横浜)
左投手:末吉 良丞(沖縄尚学)
捕手:中込 大(未来富山)
一塁手:田中 諒(日大三)
二塁手:衛藤 諒大(高川学園)
遊撃手:福島 陽奈汰(東海大熊本星翔)
三塁手:内山 元太(県岐阜商)
外野手:田山 纏(仙台育英)
外野手:江成 大和(聖隷クリストファー)
外野手:石田 雄星(健大高崎)
織田は1回戦で甲子園初完封を挙げると続く綾羽戦では4回から登板し好救援。3回戦でも完封勝利を挙げ、準々決勝まで無失点投球を続けていた。県岐阜商に敗れ8強で終わったものの、聖地で確かな成長を感じさせる内容だった。新垣投手や菰田 陽生投手(山梨学院)、柴田 蒼亮投手(県岐阜商)らの活躍も忘れ難いが、152キロを計測したインパクトも含めての選出となった。
左腕で選出した末吉は文句なしと言っていいほどの活躍だ。初戦の金足農戦では115球を投げて完封勝利。優勝インタビューで比嘉 公也監督が「初戦を勝てたことで選手も自信がついた」と話したように、1点差の好ゲームを制し、チームに勢いをもたらした。その後も仙台育英戦では169球を一人で投げ切る熱投。延長タイブレーク11回でも疲れを見せない姿には驚かされた。同じく左腕の高部 陸投手(聖隷クリストファー)も抜群の制球力で同校の甲子園初勝利をもたらし、十分な活躍を見せていた。世代ナンバーワン左腕として甲乙つけがたい2人の成長にも注目だ。
捕手では初戦敗退に終わったが中込 大捕手(未来富山)の打撃にほれた。第1打席の本塁打を振空3安打3打点。2塁送球も2.0秒近い数字と攻守で能力の高さを見せつけていた。他にも松本 七斗捕手(開星)も宮崎商との初戦で2度の盗塁阻止に3安打と攻守の活躍が印象に残った。
一塁手は準優勝に貢献した田中 諒内野手(日大三)だ。5試合で打率.364、2本塁打を記録し、チームトップの5打点を挙げチームを支えた。他にもベスト8進出に導く一打を放った小川 礼斗内野手(京都国際)、初戦で4安打の大暴れを見せた稲山 壮真(鳴門)に再三の好守があった小野 舜友選手(横浜)、野手として出場するときは一塁手を守っていた菰田選手ら候補の選手が多かったポジションだ。
二塁手の衛藤 諒大内野手(高川学園)は、3番を任され、2試合連続のマルチヒットを記録した。未来富山戦では6回に点差を広げる適時打で勝利に貢献。4番・遠矢 文太捕手(3年)とのクリーンナップは強烈だった。他にも切り込み隊長として2試合3安打を放った大島 歩真内野手(聖隷クリストファー)、3試合で4安打の打棒に加え、好守備も見せた湯山 仁太内野手(西日本短大付)らも候補に挙がった。
遊撃手は打率.571の好成績を残した福島 陽奈汰内野手(東海大熊本星翔)。2試合で4安打の打撃に3四球の選球眼とリードオフマンとして躍動した。5試合連続安打に安定した守備が光った稲熊 桜史(県岐阜商)、2番を任され4安打を放った長谷川 瑛士内野手(京都国際)も存在感を放ったが惜しくも選出外に。今春選抜で活躍していた横浜の池田 聖摩内野手は、2回戦の綾羽戦で147キロを計測したが、大会を通して打率.143と苦しんだ。準々決勝で敗戦後には「3年生が残してくれたものを下の学年や、メンバーに入れなかった同級生に伝えられるかが勝負になる。この経験を活かせられるように頑張りたい」と言葉をしぼりだし、リベンジを誓っていた。
三塁手は2年生が少ない中、内山 元太(県岐阜商)の打撃が光っていた。東海大熊本星翔戦では3安打の固め打ち。準々決勝の横浜戦でも、先制となる適時2塁打を含め2安打を放っていた。出塁率がチームトップの.458と優秀で、得点圏打率.556と無類の勝負強さを誇った4番・坂口 路歩内野手(3年)にチャンスで回す働きも大きかった。明豊の藤 翔琉内野手も3試合5安打。そのうち3本が2塁打と当たっていた。県岐阜商戦ではラストバッターとなったが、あわや本塁打という鋭い打球を飛ばすなど打撃センスはピカイチだった。
外野手は一人目に江成 大和(聖隷クリストファー)を選出。打率.429を記録し、西日本短大付で2安打を放った。初出場ながら堂々たる打撃を見せ「貴重な経験を2年生の頃からさせていただいた。自分たちの代でも引っ張っていけるよう頑張りたい」とさらなる飛躍を誓っていた。また2人目に田山 纏(仙台育英)、3人目に石田 雄星(健大高崎)と各チームのリードオフマンを選んだ。石田は京都国際のエース・西村 一毅投手(3年)を打ちあぐねていたが、2打席目にセーフティーバントを決め、その後にチームは3点を奪って一時逆転に成功。初戦敗退となったが、野球センスの高さを存分に発揮したプレーだった。