【明治安田J1リーグ 第27節 柏レイソルvs浦和レッズ 2025年8月22日(金)19:03キックオフ】 撮影/原壮史…

【明治安田J1リーグ 第27節 柏レイソルvs浦和レッズ 2025年8月22日(金)19:03キックオフ】 撮影/原壮史(Sony α-1使用)

■J1優勝争いを左右しかねない「直接対決」

  前節終了時点で首位から7位・浦和レッズまでの勝ち点差はたったの4に。5位と7位の対戦は、混沌の度合いを増しているJ1優勝争いを左右しかねない直接対決となった。

 7月20日の鹿島アントラーズとの天王山の敗戦を引きずることなく、8月10日にホームで文句なしのクオリティを見せつけて勝利した柏レイソル。タイトルへ向けて一気に再加速するかと思われたが、17日にファジアーノ岡山に完璧な対策をとられ、いきなり黒星がついてしまった。

 ボランチや左右のCBと攻撃陣の分断を発生させるためのハイプレス。コンパクトなブロック形成と明確なクリア。中盤の省略とカウンター。岡山が示した対策は、これから柏と対戦するチームへの光明になり得るものであり、柏が優勝するためには、それを乗り越えられるかが焦点となりそうだ。

 立ち上がり、浦和は柏のGKからボランチにかけてのエリアでハイプレスを見せ、ビルドアップの猶予を与えずに自分たちの勢いを出すことに成功。5分という早い時間にコーナーキックから先制点も奪い、順調な滑り出しを見せた。

 しかし、追いかける柏がボールを持つようになると、浦和はハイプレスを続けるのではなく、重心を少し低くして対応。追加点を狙う攻撃は後方からのロングボールを主体とし、金子拓郎とマテウス・サヴィオの質をピンポイントで使いつつ、中央で時間をかけることなくカウンターの形で最終ラインとの勝負となる場面を作り出した。すると43分には狙い通りの形でゴールが生まれ、0-2でハーフタイムに。

■相手を動かす&走らせることで「足が止まる」

 2試合続けて相手が狙った通りの前半にさせてしまった柏だが、自分たちのスタイルを崩すことはなかった。引いて守る浦和に対し、DFラインとボランチがボールをコントロールすることが容易となったことを活用して、得意の形で押し込む。浦和は重心を思い切り下げ、耐える形をとったが、ハイプレスではなくボールを動かされ続けたことによる疲弊に襲われ、押し上げるべきところで押し上げることができない。

「フィジカル的にここまで状態が悪い試合は記憶にない」(マチェイ・スコルジャ監督)という状況になってしまい、54分に1点を返されると選手交代でも運動量を上げることができず、83分にとうとう同点に。同点弾を決めたのは、途中出場の日本代表FW細谷真大(写真右)だった。森保監督が視察に訪れた試合で結果を残してみせた。

 動くことができなくなった浦和に対し、あとは柏にゴールが入るかどうかのみ、という展開の中、90分に小西雄大のクロスがそのままゴールとなって逆転。アディショナルタイムにもう1点入り、柏が4-2で大逆転劇を完結させた。

 攻撃の方法では、岡山の柏対策と重なる部分が大きかったものの、ハイプレスを早めに終了させ、重心を下げて自分たちのやり方で勝利をつかもうとした浦和。しかし、柏はボール保持で相手を疲弊させて逆転まで辿り着いた。鹿島戦の次の試合で勝利、岡山戦の次の試合でも勝利、と、負ければズルズルといってしまいそうな状況で勝利をつかみ取ることができた。

「ボールを支配し、相手を動かす・走らせることによって彼らの足が止まる。それこそ我々の狙い」(リカルド・ロドリゲス監督)

 今の柏に勝つには、戦術的な対策と同じか、それ以上に運動量での勝利が欠かせず、それがいかに難しいかということが伝わる試合となった。岡山が柏を倒す方法を見事に披露したことは確かだが、それを完遂できるチームは決して多くないだろう。柏がまた一歩タイトルへ前進した。

■試合結果

柏レイソル 4-2 浦和レッズ

■得点

5分 長沼洋一(浦和)

43分 松尾佑介(浦和)

54分 瀬川祐輔(柏)

83分 細谷真大(柏)

90分 小西雄大(柏)

90+6分 久保藤次郎(柏)

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