サッカー日本代表が、ワールドカップ本大会に向けての準備を本格的にスタートする。9月にアメリカへと遠征し、アメリカ代表、…
サッカー日本代表が、ワールドカップ本大会に向けての準備を本格的にスタートする。9月にアメリカへと遠征し、アメリカ代表、メキシコ代表と親善試合を行うのだ。本大会が行われる国で、開催国と戦える意義は大きい。この2戦の注目ポイントを、サッカージャーナリスト大住良之がひと足早くスカウティング(対戦チーム分析)!
■メキシコ戦は「土曜日の夜の試合」
メキシコ戦は、アメリカのカリフォルニア州オークランドで現地時間9月6日土曜日の午後7時キックオフで行われる。オークランドはサンフランシスコ湾を挟んでサンフランシスコ市と向かい合う人口44万人の港湾都市で、かつては日本からの移民が上陸した土地として知られていた。
会場の「オークランド・コロシアム」は、主にベースボールとアメリカンフットボールに使用される多目的スタジアム。観客席を動かすことで、ベースボールでは約3万5000人、フットボールでは約5万6000人の収容力を持つ。サンフランシスコ都市圏には日本人や日系人も多数居住しているが、メキシコ系の人も多く、土曜日夜の試合とあって「アウェイ」の雰囲気になるのは必至だ。
アメリカとの第2戦は、9月9日午後7時37分キックオフ。会場は、オハイオ州コロンバスの「Lower.comスタジアム」である。
コロンバスはアメリカでの感覚では「中西部」とされているが、地理的には東海岸に近く、「東部夏時間」を採用としている。「太平洋夏時間」のオークランドとの時差は3時間もある。距離は約3400キロ。これは、東京の羽田空港から中国とベトナムの国境あたりまでの距離に等しい。日本代表は、メキシコ戦が終わった後、この距離を移動して3日後のアメリカ戦に臨むのである。
■強豪を相手に「ドス・ア・セロ!」
人口約90万人のコロンバスは「アメリカ・サッカーのホーム」と言ってもいい町だ。1999年にアメリカで2番目(1番目は1913年だった!)に誕生したサッカー専用スタジアムがあり、収容は2万人余りと大きくはなかったものの、その後のアメリカでのサッカー専用スタジアム建設ブームの先駆けとなった。2003年FIFA女子ワールドカップの舞台となり(日本はここでアルゼンチンに6-0の勝利を得た)、アメリカの男子代表チームも12試合を戦った。
なかでも人々の記憶に残るのがその2試合目、2001年2月に行われたメキシコとのワールドカップ・北中米カリブ海最終予選初戦だ。アメリカはこの地域きっての強豪を相手に、2-0の勝利を飾ったのである。アメリカはコロンバスでメキシコを相手にこれまで5試合のワールドカップ予選を戦い、4勝1敗。4つの勝利はすべて「2-0」というスコアだった。同じスコアが重なったことで、アメリカのサポーターの間からはメキシコ戦のたびに「ドス・ア・セロ(2対0)!」のコールが上がるようになったという。
■W杯予選「2戦2勝」の新スタジアム
だが今回、日本戦に使われるのはそのスタジアムではない。2021年に完成した屋根付きの「Lower.comスタジアム」。「Lower.com」は、命名権を買ったネット不動産会社の名称である。このスタジアムの完成にともなって、地元のプロ・サッカー・クラブ「コロンバス・クルー」も移転。旧スタジアムは「歴史的クルー・スタジアム」と呼ばれ、アマチュアの試合などに使われている。
「Lower.com」も収容は約2万人と小ぶり。アメリカ代表は2022年ワールドカップ予選のコスタリカ戦(2-1)とエルサルバドル戦(1-0)をここで戦い、2戦2勝の成績。9月9日の日本戦が3戦目となる。市の北の外れにあった旧スタジアムに対し、新スタジアムは都心のすぐ西にあり、交通の便は非常に良くなった。