【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】◆血統で振り返る新潟2歳S【Pick Up】リアライズシリ…
【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】
◆血統で振り返る新潟2歳S
【Pick Up】リアライズシリウス:1着
父ポエティックフレアは現2歳が初年度産駒の新種牡馬。現役時代にマイル戦の英2000ギニーとセントジェームズパレスSを制覇しました。産駒成績は[3-2-4-6]。勝率20.0%、連対率33.3%、複勝率60.0%は素晴らしく、出走10頭中8頭が馬券圏内に入っています。
JRAのファーストシーズンサイアーランキングは現在コントレイルに次ぐ第2位で、JRAの2歳ランキングでも7位と健闘しています。
初年度は108頭に種付けをして血統登録頭数は37頭。2年目は66頭で20頭。受胎率が悪かったため、3年目の2024年はシンジケートを解散し、保険会社が所有する形でプライベート扱いとなっています。もしこのまま埋もれてしまうとしたら惜しい種牡馬です。
母レッドミラベルは、アルゼンチン共和国杯を勝ったルルーシュの半妹。「母の父ステイゴールド」は、馬体が小さく出る傾向があるせいか、天皇賞(春)を勝ったヘデントールが出ているものの、全体的には目立った成績を挙げているわけではありません。本馬は518kgと雄大な馬格を誇り、そうした問題がありません。
海外からやってきた種牡馬の仔は、往々にして日本向きのスピードや切れ味といった部分に弱みを抱えているので、母の父がサンデー系で、なおかつハイエストオナーとダンシングブレーヴというスピードと切れ味を併せ持つ血を抱えた配合構成は好ましいと思います。
◆血統で振り返るキーンランドC
【Pick Up】パンジャタワー:1着
父タワーオブロンドンは、現役時代にスプリンターズSを制覇したほか、セントウルSと京王杯スプリングCでコースレコードを樹立したスピード馬。現3歳の初年度産駒から、パンジャタワーのほかにレイピア(葵S-3着、小倉2歳S-4着)、アーリントンロウ(小倉2歳S-3着)、ラパンチュール(ファルコンS-5着)、スターオブロンドン(函館2歳S-5着)といった活躍馬が出ています。短距離の成績が優れており、芝1600m以上の勝利はパンジャタワーのNHKマイルCのみ。今回は1600m→1200mという距離短縮でしたが、むしろ適距離に戻った形です。
母クラークスデールは不出走馬ですが、ダービー馬ロジユニヴァースの4分の3妹(母が同じで父同士が親仔)で、名繁殖牝馬ソニンクにさかのぼるファミリーですからソングラインやディアドラが近親にいます。
母はマキャベリアンを3×3で持つというユニークな配合構成。マキャベリアンはきわめて影響力の強い超良血馬で、ストリートクライ、メディシアン、ハルーワスウィート、ホワイトウォーターアフェア、ソニンクなどの父となっただけでなく、シャマーダル、ダークエンジェル、メーマス、ゾファニーといった海外の名種牡馬の母の父でもあります。同じく“マキャベリアン3×3”を持つ馬には、仏二冠を制して種牡馬としても大成功しているロペデヴェガがいます。
全体的に欧州色の強い血統構成なので、札幌の洋芝もプラスに働いた印象です。