第107回全国高等学校野球選手権大会は、沖縄尚学の初優勝で幕を閉じた。 今大会でプロ志望を明言した選手や、進路を検討して…
第107回全国高等学校野球選手権大会は、沖縄尚学の初優勝で幕を閉じた。
今大会でプロ志望を明言した選手や、進路を検討しているドラフト候補たちを紹介したい。
高卒プロ明言した8名のうち4名がU-18代表へ
今大会、進路を「プロ1本」と表明した選手たちは以下の通り。
石垣 元気投手(健大高崎)
佐藤 龍月投手(健大高崎)
奥村 頼人投手(横浜)
早瀬 朔投手(神村学園)
今岡 拓夢内野手(神村学園)
高田 庵冬内野手(仙台育英)
松井 蓮太郎内野手(豊橋中央)
清水 詩太内野手(京都国際)
健大高崎の石垣は今大会最速となる155キロを計測。わずか2イニングだが、圧倒的な投球で今大会NO.1右腕に相応しい投球を見せた。石垣が投げる試合は各球団のスカウト上層部が視察するほどで、上位指名はほぼ確定だろう。さらにU-18代表にも選出された。大暴れを期待したい。
トミー・ジョン手術から復活した佐藤は京都国際戦で最速142キロにとどまり、不調に終わった。夏の群馬大会では最速147キロを計測しており、球威もあった。評価するスカウトは、練習まで視察して、指名を検討するのではないか。
横浜のエース・奥村は、2回戦・綾羽にワンポイント。準々決勝の県岐阜商戦では、6.1回を投げ、自責点1の力投を見せた。ほぼストレート1本の投球で、相手に直球に狙いを絞られながらも、9回、10回のピンチを投げきった精神力の強さ、140キロ中盤のストレートの威力は評価できる。
ただ、スカウトが視察する1回戦、2回戦では投手としての実働がなかったため、評価は不透明。U-18代表に選出されたのは奥村にとってはもう一度アピールできるチャンスが巡ってきた。
早瀬朔、今岡拓夢の神村学園コンビは、甲子園初戦敗退に終わった。早瀬は鹿児島大会の不調を乗り越え、創成館戦では7回1失点。常時145キロ前後、最速は148キロだった。手足の長さを生かしたフォームから繰り出す直球は角度があり、球質も良い。130キロ台中盤のスライダーの切れ味も良い。186センチ78キロと細身で、身体ができればさらに球速を伸ばしそうだ。
今岡は創成館戦で4打数0安打に終わったが、シートノックでは軽快な守備を披露していた。2人ともあまりアピールできずに終わったところがあるので、U-18代表に選ばれたのはラストアピールできる機会となる。
高田は甲子園で12打数5安打の活躍。2回戦の開星戦で豪快なホームランを放った。三塁守備は軽快で、肩の強さも光る。ただ、宮城大会では19打数4安打に終わり、確実性が課題である。荒削りでも長打力、身体能力の高さを評価する球団が現れることを期待したい。仙台育英は10月の国スポの出場が決定した。この大会がラストアピールとなる。
松井は愛知大会から高く評価された好打の捕手で、愛知大会で28打数13安打の活躍。愛知の好投手から安打を積み重ね、甲子園でも3打数2安打を記録した。松井は予選から複数人のスカウトが密着していた球団もあったので、指名に動く球団もあるのではないか。
清水は3試合で9打数1安打に終わった。先を見据えて、木製バットを使用していたが、まだ使いこなせていない。三塁守備の動き自体は軽快だが、まだ送球面で課題が多い。打撃ではハマった時はものすごい打球を打つ選手で、京都大会でも1本塁打を放っている。清水は育成指名でもプロに行くことを表明しており、指名されれば、京都国際は19年から7年連続の指名となる。
春までは高卒プロ明言も検討中の4選手
高卒プロ志向はあるものの、まだ検討中だと語ったのは吉川 陽大投手(仙台育英)、江藤 蓮投手(未来富山)、花嶋 大和捕手(市船橋)だ。吉川は今大会3試合で26.2回を投げ、31奪三振、防御率1.01、初戦の鳥取城北戦から完封勝利を挙げ、文句無しのアピールを続けた。どの試合でも最低限の投球ができる投手。ドラフト候補に挙がる高校生左腕の中で実戦力は一歩抜けている。
江藤は、初の甲子園出場に導いたが、迎えた高川学園戦で6回途中まで8失点を喫し、初戦敗退となった。江藤は試合後、「もう一度、考え直したい」と語った。それでも富山大会では、スカウト複数体制で視察するプロ球団もあり、そこで好投を見せたので、評価は不動だろう。
花嶋は千葉大会で21打数10安打、1本塁打11打点と結果を残し、甲子園でも3打数2安打。千葉大会から逆方向に強烈な打球を弾き返すなど、打撃は文句無しだが、守備面で課題が多くあり、イマイチ評価は上がっていない。春季大会終了時点で、高卒プロを明言したが、夏の甲子園・明豊戦後には「もう一度、監督の海上(雄大)先生と話し合って考えたい」と熟考の様子だった。
中越の148キロ右腕・石山 愛輝投手はプロ志望届を提出するか、大学など別の進路に進んだうえでプロを目指すのかは指導者と話し合って決める予定だ。関東第一戦では最速144キロだったが、新潟大会準決勝で最速148キロをマークし、縦に落ちるスライダーの切れ味も抜群だった。