サッカー日本代表が、ワールドカップ本大会に向けての準備を本格的にスタートする。9月にアメリカへと遠征し、アメリカ代表、…
サッカー日本代表が、ワールドカップ本大会に向けての準備を本格的にスタートする。9月にアメリカへと遠征し、アメリカ代表、メキシコ代表と親善試合を行うのだ。本大会が行われる国で、開催国と戦える意義は大きい。この2戦の注目ポイントを、サッカージャーナリスト大住良之がひと足早くスカウティング(対戦チーム分析)!
■半年ぶりに「フル代表」を結成
森保一監督率いる日本代表は、9月1日から9日にかけての「インターナショナル・マッチ・ウインドー」を利用してアメリカ遠征を行い、メキシコ代表、アメリカ代表と対戦する。9月6日(キックオフ日本時間7日午前11時)にカリフォルニア州のオークランドでメキシコと、そして9日(日本時間10日午前8時37分)にはオハイオ州のコロンバスでアメリカと戦う。「アウェイ」の地で、しかも移動を含めて「中2日」という厳しい日程である。
日本代表は3月に早々とワールドカップ出場を決め、6月の予選残り2試合は主力を休め、若手や初招集の選手を何人も起用して戦った。そして7月に韓国で行われたE-1東アジア選手権にJリーグ勢だけで臨み、苦しみながらも優勝を飾った。今回は、来年のワールドカップ(アメリカ・メキシコ・カナダ3か国共同開催)に向け、半年ぶりに「フル代表」を結成する。
■「ナンバーワン」のサッカー大国
7月10日に発表された現時点での「FIFAランキング」では、メキシコが13位、アメリカが15位、そして日本が17位。欧州と南米以外では、モロッコ(12位)に次いで最も高いランキング同士の対戦として、相手国でも大きな注目を集めている。
メキシコ代表は7月に行われた「CONCACAFゴールドカップ(地域選手権)」では、決勝でアメリカに2-1で競り勝って優勝。昨年7月に、3回目のメキシコ代表監督に就任したハビエル・アギーレ監督下、3月の「CONCACAFネーションズリーグ」優勝に次ぐタイトルを取った。
北中米カリブ海サッカー連盟(CONCACAF)において、メキシコはナンバーワンの「サッカー大国」であり、ワールドカップ出場は2022年カタール大会までで8大会連続17回。ブラジル(22回)、ドイツ(20回)、アルゼンチン、イタリア(ともに18回)に次ぐ「第5位」の出場回数を誇っている。
ただ数多く出場しているわけではない。2022年カタール大会ではグループリーグで敗退したが、1994年のアメリカ大会から2018年ロシア大会まで7大会連続してグループリーグ突破という「大記録」を持っているのだ。すべてラウンド16で敗退だったが、メキシコ代表の強さを物語る記録だ。地元開催の1970年大会、1986年大会では、ベスト8に進出している。
■メキシコの「要注意人物」たち
メキシコにおけるサッカーは、国民の大多数が信仰するカトリックに近い存在と言っても過言ではない。1970年に続いて1986年(代替開催だったが)にワールドカップを開催し、来年(共同開催)の大会で3回目の開催となる。メキシコシティのアステカ・スタジアムは、3回のワールドカップで使用される初めてのスタジアムとなる。国内のトップリーグの人気も高く、代表の半分は「国内組」で構成されている。
エースはイングランドのフラムで活躍するラウル・ヒメネス。34歳、メキシコ代表117試合、42ゴールという「レジェンド」だ。そして現在では「もうひとりのヒメネス」、24歳のサンティアゴ・ヒメネス(ACミラン)も台頭してきている。このヒメネスは、日本代表の上田綺世とフェイエノールトでチームメートだった選手である。
中盤では27歳のエドソン・アルバレス(ウェストハム)がゲームをつくるが、現在最も注目されているのが2008年生まれ、まだ16歳の攻撃的MFヒルベルト・モラ(ティフアナ)。小柄ながら圧倒的なテクニックとパス能力、得点力を持ち、メキシコの未来を担う「ワンダーボーイ」と期待されている。