◇国内男子◇ISPS HANDA 夏の決戦・誰が一番強いんだトーナメント 最終日(24日)◇北海道ブルックスCC(北海…

圧巻の63で逆転優勝を飾った

◇国内男子◇ISPS HANDA 夏の決戦・誰が一番強いんだトーナメント 最終日(24日)◇北海道ブルックスCC(北海道)◇7286yd(パー72)◇晴れ(観衆1888人)

プレーオフに備えていた練習グリーンで歓喜の時を迎えた小平智は、走ってきた岩田寛に抱きつかれた。耳元で「俺、泣きそうだよ」と言われて、泣きそうになった。バックナインに入った10番ティイングエリアで18番グリーン横のリーダーボードを見て、トップに岩田の名前を見て「うれしくなった」と気合が入った。サンデーバックナイン「30」のラッシュのきっかけをつくってくれた大好きな先輩プロだ。

7年ぶりの優勝だ。まず一番に喜びを伝えたい人は天国にいる。23年1月に他界した、コーチでもあった父・健一さん。「だから母に伝えたいですね」。苦しかった時、一番近くで支えてくれた母・裕子さん。「苦しい思いをさせたのに、鬱陶しくて当たったりもしましたから…」と照れ臭そうに言う。

両親、先輩、親友…みんなに支えられて

コースで自分に寄り添ってくれたのは帯同キャディの市原弘章さん。「自分に賭けてくれた親友です」。日大の先輩プロでツアー1勝の市原建彦の弟で、同級生。昨年限りで競技者としての道を断ち、今季から自分のバッグを担いでくれている。

首位と3打差8位から、最終組の4組前で回った最終日、ボギーなしの「63」で圧巻の逆転を演じた。前半4番(パー5)を2オンしながら3パットで取りこぼしながら、5(パー3)、6、8番でバーディを奪い、12番から4連続バーディで通算22アンダーとし、岩田、大岩龍一とトップで並ぶ。

「決め手」と自負した“決勝”イーグル

クライマックスは17番(パー5)。265ydを3Wでピン手前3mにつけ、イーグルを奪って抜け出した。「あれが決め手だったと思う」と小平が言うビッグプレー。好調なショットの裏には、松山英樹の存在があった。2週前まで1カ月半渡米した際に3日間、ラウンドと食事を共にした後輩プロの助言から「昔、スイングで無意識にやっていたことを今は意識的にやっている」とV字復調につながった。

優勝会見では何度も感謝を口にした。「自分一人の力じゃない」と力説。周囲の支えがあって、2018年「日本シリーズ」以来の復活劇を演じた。

再びアメリカへ

優勝によって来季以降2年間の複数年シードを手にし、すぐに決断したことがある。6年間戦いながら、2023年限りで一時撤退したPGAツアーへの再挑戦。賞金ランク5位に浮上して、11月25日時点(ダンロップフェニックス終了後)のランク1位になれば、同ツアー予選会最終ステージ(12月11日~)に出場できる。

「もし1位になれなかったら、2次(予選)からいけばいい」と迷いはない。もっとみんなの期待に応えたい。自分の夢に進みたい。再挑戦の幕が上がった。(北海道苫小牧市/加藤裕一)