◇国内女子◇CAT Ladies 最終日(24日)◇大箱根CC(神奈川)◇6652yd(パー72)◇晴れ(観衆2308…
◇国内女子◇CAT Ladies 最終日(24日)◇大箱根CC(神奈川)◇6652yd(パー72)◇晴れ(観衆2308人)
最終18番(パー5)でバーディを奪わないとプレーオフになるという状況を櫻井心那は把握していた。「心拍数も上がっていた」なかで打った1Wショットはフェアウェイをとらえ、3Wでの2打目は左横のガードバンカーへ。砂地から58度のウェッジでイメージ通りに振り抜いた球はカップ横を通って50センチの所に止まった。ウィニングパットを決めて両手を挙げた。3バーディ、3ボギーの「72」と伸ばせなかったが、通算9アンダーで後続を振り切った。
プロ初年度の2022年は下部ステップアップツアーで初の年間5勝を挙げ、レギュラーツアーを主戦場にした23年は年間4勝をマークした。宮里藍、畑岡奈紗に続く「10代4勝」を達成した。
順調に思えたプロ生活だったが、翌24年は苦しんだ。「(3戦目の)『Vポイント×ENEOS』の頃からショットがぐちゃぐちゃになって調子が悪くて。頭の中も全然整理できなくて、すごく得意なパターも入らなくなってそのパターもいじって。持ち球はフェードなのにつかまった球にしないとと思ってドロー軌道のショットに変えるぐらい、どうしようもない状態だった」となりふり構わず結果を求める時期が続いた。
不調から脱却するのに永峰咲希らも教える目澤秀憲コーチに習うようにもなった。「(昨年の)秋ぐらいから。ゴルフについて前よりも考える時間は長くなりました」とあらためてフェード軌道の球筋にスイングを修正。これまでしてこなかったトレーニングにも取り組むようになった。
「メンタル面もいっぱい悩んだし、いっぱい考えた。自分的にはブレーキの期間が長かったけど、そういう時間が自分を成長させてくれたと思う。今回の優勝の価値はすごく大きい」と2年ぶりにつかんだ5勝目を笑顔で喜んだ。
ちなみに17番あたりからキャディを務める女子プロの吉田弓美子から優勝への発破をかけられていたという。「『早く帰りたいから分かっているよね?』みたいなことを言われて。でも、『心那ならできるよ、うまいんだから』って背中を押してもらった」
初日から首位を守る完全Vだったが、優勝で涙したのは今回が初めて。「こんなはずじゃなかったけど、泣いちゃいました。緊張から解かれた、肩の荷が下りた、みんなの期待にやっと応えられたなって。うれしい涙ですけど、恥ずかしいです」と21歳は照れながら振り返った。(神奈川県箱根町/石井操)