<文部科学大臣杯 第77回 全日本大学準硬式野球選手権大会: 福岡大2-3立教大>◇23日◇準決勝◇札幌市円山球場 大学…
<文部科学大臣杯 第77回 全日本大学準硬式野球選手権大会: 福岡大2-3立教大>◇23日◇準決勝◇札幌市円山球場
大学準硬式の日本一を決める文部科学大臣杯 第77回 全日本大学準硬式野球選手権大会(以下、全日大会)。23日の準決勝で福岡大は立教大と対戦して、2対3という結果に終わった。
2年ぶりに出場した全日大会の舞台。2度の延長タイブレークの死闘を演じるなど、大会を盛り上げたが、この試合も先発した2年生・戸上大樹投手(筑紫中央出身)は、6回途中ながら3失点と好投を見せた。
「このチームで勝ちたかった。ふがいないしか言えません」と涙を流しながら振り返った戸上。とはいえ130キロ超えるストレートに加えて、小さく沈むツーシームなどを駆使した投球は見事。まだ2年生ということを考えても、今後もチームの主力選手になることは間違いないが、全国大会に出場してベスト4まで勝ち上がったことを「良い経験だった」と語る。
無理もない。中学時代は最速108キロ、高校時代も138キロと決して速球派投手ではない。最後の夏も初戦敗退で終わっている。
「中学時代は県大会に行けなかったし、高校3年間で3回戦に勝ち進むくらいでした。しかも高校最後の試合、先発していましたが、途中で転んでしまった際に右手親指を負傷して、2回で降板。しかも病院で検査をしたら、指は骨折してしまったんです。そんな最後でした」
こうしたこともあって、高校野球で引退するつもりだった。入学してまもなくは普通に大学生活を送ってきたという。だが、夏の福岡大会はずっと見ていたこともあるが、一番は「野球をやらないと大学生活が楽しくない。野球がやっぱり好きだった」ことに気が付き、11月からチームに合流した。
「一緒に講義を受ける友だちの中に準硬式の選手がいたので、色々聞いて見学や体験に行ってみたんです。そうしたら選手同士が仲良く、笑顔にあふれている雰囲気でした。しかも投手がいないということで『チャンスだ』と思ったので、入部することを決めた」
筑紫中央時代は、「しんどくて何度もやめたいと思う瞬間があった」と、メリハリをつけながらも、厳しい練習環境だったという戸上。だから惹かれた部分もあるのだろうが、一方で筑紫中央での3年間には感謝の思いもある。
「先生方にはコーチを呼んでくれたり、道具を揃えてもらったり。あとは今日使ったツーシームなどを教えてもらうなど練習環境を整えてもらって投手として成長できました。先生方がいなかったら野球はやめていたと思いますので、本当に良い仲間、先生方に巡り合えました」
恩師の教えで習得したツーシームを駆使してベスト4進出。立教大との試合でも威力を発揮した。それでもあと少し届かなかった。「全国ベスト4はめったに出来ない良い経験ですが、この悔しさを知っている人はこのメンバーだけなので忘れずに取り組みたい」と敗戦をバネに、さらなる飛躍を誓った。
一度は野球から遠ざかったが、準硬式という居場所で花が開いた戸上。「硬式よりもレベルが低いと思われるかもしれないですが、そんなことない。ボールが違うだけだと思います」と準硬式に対する思いも口にしたが、この試合を見ればたしかにそうだった。
素晴らしい一戦を見せてくれた戸上が、今後はどんな投手になるのか。これからも楽しみだ。