この新型スバルXVは先代モデル(第62回参照)同様に、伝統車形のインプレッサ(以下インプ)の車高をカサ上げして、S…

 この新型スバルXVは先代モデル(第62回参照)同様に、伝統車形のインプレッサ(以下インプ)の車高をカサ上げして、SUV風のデザインや機能をふりかけたクルマだ。

 新型XVのベースとなったのは昨秋発売の5代目インプだが、その骨格構造には”スバルグローバルプラットフォーム(SGP)”という仰々しい名前がつけられている。SGPはスバルが社運をかけて白紙から新開発したハードウェアで、聞けば「今後10年は全スバルの土台となる」ことを想定しているらしい。

 というわけで、最新のインプはミシリともしない剛性感、生き物のごとく路面に吸いつくサスペンション、なのにまるで路面から浮いたみたいにピタリ水平に安定しきった乗り心地……と、さすが10年先を見据えただけに、新しくてステキな走りを披露する。

 しかも、SGP世代のスバルは、ドアを開けたときに見える敷居や柱の”質感”にまでこだわっているとか。これまでのスバルといえば「中身は凝っているけど、見た目は安っぽい」が定説(失礼!)だったが、今後はその認識もあらためなくてはならなくなった。

 今回の主題である新型XVにも、当然のごとく、そんなインプ≒SGPのツボがあますところなく注入されている。それどころか「どんなハードなカーブでも、ウソにように水平姿勢でド安定」というSGPの本質的なツボは、XVでこそ分かりやすく際立つ感すらある。

 シツコイようだが、XVはインプの背高版。まずはインプをつくって、後追いでXVを開発……という時系列は、発売時期や開発陣の言葉からも間違いないが、実際に新型XVに乗ると「XVの背低版がインプだろ!?」と思ってしまう。つまり、主従関係が逆転したと錯覚するくらいに、新型XVのデキがいいのだ。

 日本でのスバルはスポーツイメージが根強い。しかし、今のスバルの実態はXVにアウトバック(第127回参照)とフォレスター(第50回参照)を加えた”車高高い系”の三兄弟が、世界販売の8割(!!)を占める。また、XVとインプをひとつのシリーズモノとして見ると、従来型でも世界販売の6割がXVだったそうで、もはや、ビジネス的には完全にSUV、そしてXVが大黒柱にして主力なのだ。

 というわけで、新型XVは国内でも先代以上のヒットねらい感がアリアリ。その最たるものが今回の取材車でもある1.6リッターだ。  従来型XVは2.0リッターを基準に、上級にハイブリッドを加えた2本柱ラインナップだった。対して、この新型でも2.0リッターが基準の2本柱に変わりはないが、もうひとつの柱が、今度は弟分的な1.6リッターであることが大きな違いだ。

 1.6リッターが用意されたキッカケは販売現場からのアツい要望だったそうで、技術陣は当初「インプより重いXVに1.6リッターは力不足に決まってる」と否定的だった。ところが、実際にモノをつくってみると、これが意外なほどよく走って商品化にゴーが出た。

 なるほど、この市販版も1.6リッターで実用上のパンチ不足を感じることは皆無だし、2.0リッター以上に軽く吹けるエンジン特性は、別の意味でさわやか。よほどのパワージャンキーでなければ不足なし……というか、パワージャンキーなら2.0リッターでもそもそも物足りない……と本末転倒になってしまうほど、1.6リッターは魅力的である。

 で、ご想像のとおり、1.6リッターの価格設定は、2.0リッターより明らかに安い。

 クルマの価格は1台あたりの原価だけで決められるほど単純ではない。性能が低いからといって部品点数が少ないわけでもないし、とくにエンジンなどはいろんな車種で使い回されるから、大きなエンジンでも生産台数が多ければ、小さなエンジンより低コストでつくられるケースもめずらしくない。それでも、少なくとも同一車種内では小排気量エンジンを安く設定するのは、そうでないと商品ラインナップの整合性が取れないからだ。

 ……なんて、ややこしいハナシになってしまうのも、この新型XVの1.6リッター車が、それをつくった技術陣が「安すぎ!」とこぼすくらいにお買い得な設定だからである。

 たとえば、今回の取材した”1.6i-L”ならエンジン以外の装備はほぼすべて最上級。ちょっとした凍結路やトリッキーな場所で超便利なヒルディセントコントロール(急な下り坂でも歩くような自動徐行走行が可能)といった本格機能もシレッと標準装備で、さらに自慢のアイサイト関連はもちろん、電動レザーシートやLEDライト、純正の大画面ナビまで”全部乗せ”しても300万円切り!

 スバルの大黒柱にして、大黒柱らしく先代以上に本格機能がテンコ盛り、しかもSGPで最新鋭の走り自慢、その他の装備もこれでもかと満載して、この価格……とは、これはもうツボというほかない安さである。

【スペック】

スバルXV 1.6i-Lアイサイト

全長×全幅×全高:4465×1800×1595mmホイールベース:2670mm車両重量:1430kgエンジン:直列4気筒DOHC・2992cc最高出力:115ps/6200rpm最大トルク:148Nm/3600rpm変速機:CVTJC08モード燃費:15.8km/L乗車定員:5名車両本体価格:227万8800円