(23日、第107回全国高校野球選手権大会決勝 沖縄尚学3―1日大三) 沖縄尚学が、夏の甲子園大会で初優勝した。沖縄勢と…
(23日、第107回全国高校野球選手権大会決勝 沖縄尚学3―1日大三)
沖縄尚学が、夏の甲子園大会で初優勝した。沖縄勢としては15年ぶりの快挙に、多くの県民がテレビに釘付けだった。
那覇市の大屋純人(まこと)さん(34)は「準決勝も決勝も逆転。本当にすごい」と、職場のテレビの前で喜んだ。
21日の準決勝では、甲子園球場に足を運んだ。アルプス席で顔を白く塗り、笠をかぶって「チョンダラー」になった。
チョンダラーとは沖縄の伝統芸能・エイサーの演者のひとつで、場を盛り上げる役割がある。別の卒業生が衣装を持っていたことから、「これで応援しよう」と決まった。
大屋さんは2008年春の選抜大会で、沖縄尚学の記録員として甲子園の土を踏んだ。エース東浜巨(なお)(現ソフトバンク)を擁し、チームは優勝。比嘉公也(こうや)監督は当時26歳だった。
大屋さんは、入部当初は外野手だった。ただ、力不足を感じ「サポートに回って力になれたら」とマネジャーに転向した。
おもな役割は来客の対応や選手の体重管理だったが、よく失敗した。雨の日に、来客に傘を差し出さず、ずぶぬれにさせてしまったこともある。
それでも、「指導されるうちに、気配りができるようになった」。裏方の仕事に目覚め、大学では、野球部の主務になった。
選抜優勝時の熱気が、今も忘れられない。
「県民がこんなに応援してくれるとは」
今年の夏。「自分が受けた応援を後輩たちに返そう」と、4強が決まると甲子園にやって来た。
アルプス席で「カチャーシー」という踊りを披露したり、「チバリヨー(がんばれ)、沖尚」と声を出したりして盛り上げた。
「マネジャーも応援も裏方ですけど、それで誰かが幸せになるなら、うれしい」
準決勝の山梨学院戦は七回に逆転して勝った。
「自分たちも、準決勝は逆転勝ちだった。優勝したときに似ている」と期待をふくらませ、甲子園を後にした。
迎えた決勝。後輩たちは、沖縄尚学としては初となる夏の全国制覇を果たした。
「やりましたね。卒業生たちが目指してきた深紅の優勝旗を勝ち取ってくれてうれしい」と、喜びを爆発させた。(中嶋周平)