サッカー選手やチームには、なぜか勝てない「鬼門」とも言うべきスタジアムがある。蹴球放浪家・後藤健生にも、それはあるとい…

 サッカー選手やチームには、なぜか勝てない「鬼門」とも言うべきスタジアムがある。蹴球放浪家・後藤健生にも、それはあるという。歴戦のツワモノが苦手とする「3大鬼門」とは?

■「エレベーター」が見つからない

 結局、たしかにFIFAの地図に間違いはなかったのですが、木の陰に隠れた小さな建物だったのです。で、最終的にADカードをもらってスタジアムに入ったのはキックオフ直前でした。

 しかも、スタジアムに1階から入って記者席に行くには途中でエレベーターを乗り換えなければならないのですが、その2番目のエレベーターが見つからないのです。で、とりあえずその辺の一般席(?)に座って前半を観戦。ハーフタイムにようやく記者席に辿り着いたというわけです。

 ちなみに、2戦目(ウルグアイ戦)のときにも、また迷いました。

 そういえば、それより前にKリーグの水原三星ブルーウイングスの試合を見に来たときも、僕はこのスタジアムで迷った覚えがあります。

 どうやら、ここは僕にとって鬼門のようなのです。

■いつも道を間違う「香港スタジアム」

 僕は「放浪家」ですから、方向感覚には自信があります。初めての街でも、事前に地図をチェックしておけば、ほとんど迷うことなく目的地に辿り着く自信があります。

 ただ、僕にも世界に3か所だけですが、苦手な場所があるのです。

 苦手な場所の第1は、香港スタジアム周辺です。

 現在の近代的な香港スタジアムが建っている辺りは、かつては古い「政府大球場(ガバメント・スタジアム)」がありました。南側ゴール裏が断崖になっていて、その上から大勢の人が試合を見ているという面白いスタジアムでした。すぐ北隣には、香港の名門、南華体育会(サウス・チャイナ)の本部やスタジアムもあります。

 で、僕はその政府大球場時代から何度もこのスタジアムにいっているのですが、銅鑼湾(コーズウェイ・ベイ)方面からスタジアムに向かうと、いつも道を間違ってしまうのです。

 苦手の第2は、国際オリンピック委員会(IOC)本部のあるローザンヌ(スイス)です。

 ローザンヌでは、1998年のフランス・ワールドカップ直前に日本代表がローザンヌでメキシコ、ユーゴスラビアと準備試合をしました。また、2006年ドイツ大会前にもイタリアとウクライナの試合があったのでローザンヌを再訪しましたが、そのときも何度か道に迷ってしまい、「苦手意識」を持つようになりました。

 ここが苦手な理由ははっきりしています。高低差です。街の北が山で南はレマン湖に面していて、街全体が複雑な斜面になっていて、道が直線ではなく、立体的に入り組んでいるのです。美しい街なんですがねぇ……。

■悔しさと安心感で「複雑な気持ち」

 そういえば、香港スタジアムの周囲も北側が海(ビクトリア港)で、南が山になっていて傾斜地です。こういう立体的な地形の街は、二次元のマップだけではよくわからないというわけです。

 で、水原のスタジアムに「苦手意識」を持っていた僕は、今回、再びこのスタジアムを訪れることになったので、ちょっと身構えていました。

「今度こそ、一発で記者席に辿り着いてリベンジを果たすぞ!」と。

 ところが、敵もさるもの、いきなり3階まで階段を昇らせて、最初から記者席まで行くエレベーターを使わせるような導線を用意していたのです。

 3階まで階段を昇るのは面倒で、遠回りになるのですが、これなら道には迷わないわけで……。リベンジの機会を奪われた悔しさと、道に迷う心配のない安心感が入り混じった複雑な気持ちになったというわけです。

 次は、香港スタジアムにでも再挑戦してみようかな……。

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