約3か月にわたるリハビリを重ね、ようやく実戦復帰を果たした佐々木。しかし、メジャーのマウンドに立つには課題はゼロではない…

約3か月にわたるリハビリを重ね、ようやく実戦復帰を果たした佐々木。しかし、メジャーのマウンドに立つには課題はゼロではない(C)Getty Images
米球界で試行錯誤を繰り返している“怪物”の行く末が注目を集めている。右肩の不調により戦列を離れている佐々木朗希(ドジャース)だ。
今年5月中旬に「右肩のインピンジメント」が判明した佐々木は、本領を発揮する間もなく負傷者リスト(IL)入り。そこから球団の厳正な管理下で約3か月のリハビリをこなしてきた。
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迎えた現地時間8月14日に、球団傘下3Aオクラホマシティで、ようやく実戦復帰。97日ぶりのマウンドでマイナーの打者相手に2回0/3で計41球を投げ、被安打6、3失点、1四球という結果に終わった。
そして中6日で行われた現地時間8月20日のタコマ戦に先発した佐々木は、4回途中で60球を投げ、被安打3、2失点(自責1)、2奪三振、3四球で降板。前回よりも洗練されたボールを投げ、本人も「不安なく投げられて、終えることができてまずそこはよかった」と安どした様子だった。
コンディション面に関しては着実にステップアップしている。しかしながら、懸念材料もゼロではない。何しろ球速が上がりきらないのだ。
佐々木といえば、ロッテ時代の2023年にプロ野球の日本人選手最速タイとなる165キロも計測した剛腕。速球に関してはNPBでの過去3年間の平均球速も158.4キロ、159.1キロ、156.0キロを記録。明らかにずば抜けており、彼の投球における「生命線」であったのは言うまでもない。
しかし、20日のタコマ戦での4シームの平均球速は96マイル(約154.5キロ)。最速も97.8マイル(約157.4キロ)と、一つのバロメーターとなる100マイル(約160.9キロ)には及ばなかった。
無論、怪我を再発するリスクを考慮し、本人が意図的に抑えながら投げている可能性もある。だが、現地時間8月21日にデーブ・ロバーツ監督が「もっと(球速は)上がっていく必要があると思う」と注目をつけたように、球速低下が佐々木の課題となっているのは間違いない。
レギュラーシーズンも佳境を迎え、主に投手陣に多くの怪我人を抱えてきたチームは猫の手も借りたい状況ではある。それでも、佐々木に関して首脳陣が復帰を急かしているいるようには見えない。
あくまで「打者を圧倒するボールを取り戻させる」。これをドジャースは佐々木のメジャー復帰に向けた一つのバロメーターとして捉えているのかもしれない。実際、MLB公式サイトのドジャース番を務めるソーニャ・チェン記者は「ササキのリハビリ期間は、ドジャースにとって、仕事量を増加させることだけが目的ではない。とにかく彼がメジャーリーグの打者に対して確信を持って挑ませるために、マウンドで自信を築くことも求めている」と指摘。コンディション面に加え、投球スキルの進化を促そうとする球団の狙いを伝えている。
NPB以上に激しい競争が続くメジャーリーグ。その中で佐々木は首脳陣が求める“水準”をいかに満たし、復活を遂げるのだろうか。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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