今夏の移籍市場でも小さくない話題を生んだソン・フンミンのMLS移籍。その効果は凄まじく――(C)Getty Images…

今夏の移籍市場でも小さくない話題を生んだソン・フンミンのMLS移籍。その効果は凄まじく――(C)Getty Images
今夏にサッカー界でも小さくないトピックとなったのは、韓国の英雄が決めた“米上陸”だった。去る8月6日にメジャーリーグサッカー(MLS)のロサンゼルスFCとの電撃契約を交わした韓国代表FWソン・フンミンのそれだ。
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まさに急転直下の決定だった。前所属のトッテナムとは2006年6月までの契約を残していたソン・フンミンだが、10年も在籍した愛着のあるクラブに移籍金を残すべく、移籍を決意。欧州クラブだけでなく、年俸3000万ユーロ(約50億4000万円)とも囁かれたサウジアラビアからの関心も集めた中で、MLSの新興クラブを新天地に据えたのだ。
移籍金はMLS記録を更新する2600万ドル(約38億円)と決して安くはない。それでも共同オーナー兼GMのジョン・ソリントン氏は「私たちが追求する価値、選手ファーストの環境構築、そしてLAを世界的な舞台にするというビジョンと完全に合った」と、大枚を叩いた。
そんな“ソン・フンミン効果”は、すでに収益にも波及しているという。英スポーツ専門ラジオ局『talk SPORT』の番組にゲスト出演したソリントン氏は、正式加入から約2週間でソン・フンミンのユニフォームが「世界で1番売れた」と主張。番組ホストから「え、メッシより多いということですか?」と尋ねられた際にも、「今のところはそうだ。彼(ソン・フンミン)は世界のどのアスリートよりユニフォームを売ってきたのだ」と声高に語った。
クラブとしては大枚を叩き、大手を振って迎え入れたアジアンスターを、主に韓国を中心とした方面へのマーケティングに生かしたい狙いはある。ゆえに具体的な数字を明かさずに「世界のどのアスリートよりユニフォームを売ってきた」と強気に語ったのだろう。
しかし、こうしたPR戦略を疑問視する声も上がっている。
韓国メディア『OSEN』は、「投資に見合った効果が求められるのは当然」としながらも、「世界のユニフォームの売り上げは、(リオネル・)メッシと(クリスティアーノ・)ロナウドが依然として圧倒的なシェアを誇っている。さらにNBAスターのレブロン・ジェームズと、日本球界のスターである大谷翔平の関連グッズも市場を席巻している」と指摘。クラブ関係者の主張を“誇張”と断じた。
「ソン・フンミンがアジアのスポーツ界におけるトップスターであることに異論はない。だが、彼が世界のビッグ4を超えたという主張は信憑性に欠ける。こうした誇張された発言はソンのイメージを損なうどころか、『過剰なパッケージ』という批判を煽るだけである。
いまや彼のブランド価値は途方もない成長を続け、アジアでは象徴的な存在として扱われている。しかし、『メッシ、レブロン、大谷よりもグッズが多く売れている』という主張をするのは別ではないか。具体的な数字や客観的な指標を欠いた宣言は、クラブ側の『期待に胸を膨らませた誇張』に過ぎない。ソン・フンミンを取り巻く市場での成長を支えるには、冷静なデータと現実的な戦略が必要だ」
ロサンゼルスFC側の“主張”は、主に韓国でのフィーバーを見込んでのもの。しかし、メッシや大谷を「超えた」と訴えたのは、さすがに軽率だったかもしれない。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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