J1昇格をかけたJ2リーグの戦いが激しさを増している。中でも注目は、ジェフユナイテッド千葉だろう。はたして、悲願ともい…

 J1昇格をかけたJ2リーグの戦いが激しさを増している。中でも注目は、ジェフユナイテッド千葉だろう。はたして、悲願ともいえる17年ぶりのJ1復帰はかなうのか。サッカージャーナリスト後藤健生が上位直接対決となった徳島ヴォルテス戦を踏まえ、古豪の今後を占う!

■最も難しい「ゴール前の質」の向上

 今季のジェフユナイテッド千葉は、昨年に比べて確かに得点は減ったが、これは昨年、小森飛絢というゴールゲッターがいたからだ。小森はJリーグ1年目の昨シーズン、23ゴールを決めてJ2得点王に輝いたが、2025年1月にベルギーのシント・トロイデンに移籍。半年後の6月に浦和レッズに完全移籍している。浦和ではJ1リーグで5試合に出場して4得点と、得点力の高さをあらためて示している。

 その小森の不在は千葉にとって、やはり影響は大きいことだろう。

 徳島ヴォルティス戦でも、組織的によく整っており、攻撃の回数は多かったが、ゴール前での決定的チャンスに結びつく回数が多くなかったのが気になった。

 小林慶行監督は、「そこは伸びしろ。ゴール前の質を上げていく」と言うが、それが最も難しいところであることは監督自身よくご承知のはずだ。

 つまり、残り試合でのストライカー陣の頑張りに、千葉の今シーズンの運命が懸かっていると言ってもいいのだろう。

■26試合「失点14」ケタ違いの守備力

 対戦相手の徳島(皮肉にも大活躍のGKホセ・スアレスの古巣)は、相手のサイドからの崩しを十分に警戒しており、「中盤で相手にボールを持たれてもよし」と割り切って守り、そのうえでカウンターを使って反撃。相手の良さを消しながら前半をノースコアで乗り切り、後半の攻撃にかけていた。

 なにしろ、徳島は千葉戦の失点を含めて26試合で失点が14という堅守を誇るチームなのだ(J2リーグで2番目に失点が少ないのが大宮の「22」というのだから、徳島の守備力はまさにケタ違いだ)。

 千葉と徳島の試合は、後半に入って徳島の攻撃機会も増えて互角の展開が続いていたが、65分に千葉が均衡を破った。

 右サイドから持ち上がった高橋壱晟がカルリーニョス・ジュニオに縦パスをつないで展開。パスの勢いを殺さないようにうまくボールを受けたカルリーニョ・ジュニオが、相手選手をかわしてGKとDFの間を狙った精度の高いパスを入れ、このボールにGKが触れてゴール前にこぼれる。ゴール前にはCFの森海渡が待ち構えていたが、徳島のDF山越康平が必死にスライディング。しかし、山越に当たったボールはそのままゴールイン。オウンゴールとなって千葉が先制する。

 徳島が64分に杉本太郎やトニー・アンデルソンを投入して攻撃に出ようとした矢先の出来事だった。

 リードを許した徳島はさらにローレンス・デイビッド、高田颯也を入れて反撃を試みるが、千葉もうまく守備的に対応して守り切る。93分のCKの場面では徳島のGK田中颯も上がって、見事なヘディングシュートを放ったが、クロスバーよりわずかに上で万事窮した。

■安定感を優先「指揮官の決断」の結果

 試合終了後、千葉のベンチ前では控え選手とスタッフが輪になって喜びを表現。まるで優勝か昇格が決まったような風景だったが、ホームのフクアリでは4月25日の第11節ブラウブリッツ秋田戦以降勝利がなかっただけに、注目を集める上位対決での勝利の喜びはそれほど大きかったのだろう。

 いずれにしても、ボールを巡る激しいバトルが繰り広げられた熱戦だった。それでいて、不必要なラフプレーもなく、リードしていた千葉が時間稼ぎをすることもなく、またアウトオブプレーになっても互いにすぐにリスタート。J2リーグだから当然VARによる中断もなく(もっとも、VARが欲しいような判定も複数回あったが)、アディショナルタイムは飲水タイムを含めて前半が2分、後半が5分。アクチュアル・プレーイングタイムの長い好試合だった。

 第26節終了時点でJ2リーグは首位の水戸ホーリーホックと2位の千葉が勝点3の差。千葉と3位のV・ファーレン長崎がさらに勝点3の差。さらに、長崎から9位のFC今治まで7チームが勝点5差の間にひしめき合う大混戦となった。そんな中で、爆発力よりも安定感を優先させた千葉・小林監督の決断がどのような結果につながっていくのか……。J2リーグの熱い戦いからも目が離せない。

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