(21日、第107回全国高校野球選手権大会準決勝 日大三4―2県岐阜商 延長十回タイブレーク) 試合終盤、疲れの見えた…

 (21日、第107回全国高校野球選手権大会準決勝 日大三4―2県岐阜商 延長十回タイブレーク)

 試合終盤、疲れの見えた県岐阜商の柴田蒼亮投手(2年)に、日大三の強力打線が襲いかかる。野手たちは必死の守備でもり立てた。

 「大丈夫、いつも通りいけば抑えられる」「笑顔で楽しもう」。河崎広貴主将(3年)はベンチから仲間たちを励まし続けた。

 背番号17。レギュラーからは漏れた。だが外野守備には定評がある。「飛球の処理は良い方だと思います」。岐阜大会では終盤の守備固め要員として6試合すべてに出場。甲子園でも1回戦から3回戦までいずれも途中出場した。

 2回戦では七回に右翼手で入ると、九回1死二塁で打席が回ってきた。「絶対打って走者をかえす」。冷静に球を見極めて四球を選び、「平常心でできたと思います」とはにかんだ。

 仲間たちに推されて主将になった。柴田投手は「率先して声出しや声かけをして、練習では一つも手を抜かない。尊敬しています」と語る。藤井潤作監督は「投票で主将を決めたんですが、本当にいい主将を選んだ。みんな信頼してついていったと思う」と評する。

 この日の県岐阜商の応援席は、69年ぶりの決勝進出を信じる卒業生や在校生でいっぱいに。

 その中には河崎主将の父・章さん(53)の姿もあった。自身も県岐阜商の右翼手として1989年夏の甲子園に出場した。

 チームメートには和田一浩さん(元中日)もおり、前評判は高かった。だが佐賀商に敗れ、初戦突破はならなかった。

 甲子園入り後、章さんは自らの経験を元に息子にSNSでアドバイスを送り続けた。前日は「横浜に勝って満足するな。明日が初戦だと思ってやろうとみんなに伝えろ」。

 章さんは「準決勝だと思うと緊張してしまう。浮足立たずにいつも通りやってほしいという思いでした」と語る。河崎主将からは「OK」と返事が来たという。

 3回戦の明豊(大分)戦の前には「一回から三回までが勝負。集中するようみんなに声かけを」と連絡。その通りチームは初回に挙げた3点を守り抜いて3―1で勝った。

 「甲子園入り後は練習があまりできず、体の切れが悪くなる。何となくダラッと試合に入ってしまいがちなんです」と振り返る。

 大接戦だった横浜戦もスタンドで応援。「見てて苦しかった」と苦笑するが、「自分が歌えなかった校歌を4回も甲子園で聴けてうれしい。息子やみんなに感謝です」。

 「お父さんを超えることが恩返しになる」との思いで聖地に臨んだ河崎主将。この日は出場機会はなかったが、試合後はすっきりとした表情だった。

 章さんに伝えたい言葉がある。「小学校から野球をたくさん教えてくれて本当にありがとう。これからはこの経験を生かしてどういう道に進んでも頑張るねって言います」(高原敦、松島研人)