グラウンドの攻防で力なく屈した朝倉(C)Getty Images 立ちはだかる“世界の壁”をどう打ち壊すか。元RIZIN…

グラウンドの攻防で力なく屈した朝倉(C)Getty Images

 立ちはだかる“世界の壁”をどう打ち壊すか。元RIZIN王者は真価が問われている。現地時間8月16日、米イリノイ州シカゴで行われた総合格闘技イベント「UFC319」で、ティム・エリオット(米国)に2回4分39秒で一本負けした朝倉海だ。

【動画】これが「UFCの壁」 朝倉海が喫した屈辱のギロチンチョークシーン

 昨年12月にフライ級タイトルマッチとして王者のアレシャンドレ・ パントージャ(ブラジル)にリアネイキッドチョークで2回2分05秒で敗れ、辛酸をなめていた朝倉。約8か月ぶりの試合の相手は、UFC参戦歴12年の経歴こそあるものの、約2年間も実戦から遠のいていた38歳。「再起」を印象付けるには十分な実力派だった。

 しかし、朝倉は成す術なく敗れた。強打で崩しに行った1回をしのがれると、2回にテイクダウンを取られて一気に守勢に。ここを好機と見たエリオットは、「固めるのをやめようと思った。だけど、『相手はパニくってるぞ。あと少しでタップするぞ』とコーチが言うのが聞こえた」(試合後会見談)と危なげなくギロチンチョークで締め上げた。

 またも序盤で仕留められてしまった朝倉。試合から4日が経過したYouTubeチャンネルで「正直、自分の中では本当に勝てる自信があったし、ここで落とすか、と。自分に対してガッカリしたし、情けない気持ちでいっぱい」と猛省した31歳は、試合を決めたグラウンドの攻防を次のように振り返っている。

「本当に自分のミス、ガードから起きるところでの(相手の)ティム・エリオットがギロチンが得意なのも知っていたし、(コーチの)竹浦さんとかもすごい分析してくれて、練習も何十回何百回とやってきたところで、練習ではできていたんだけど、なぜか本番で失敗してしまった。完全に自分のミス」

 自身の「ミス」を悔いた朝倉。そんな日本人ファイターの“拙守”には、UFCの酸いも甘いも知る元王者も厳しい言葉を投げかける。

 元UFC世界バンタム級王者のTJ・ディラショー(米国)は、元UFCライトヘビー級王者ランペイジ・ジャクソンがホストを務めるポッドキャスト番組『JAXXON PODCAST』に出演し、「ティムは本当にレスリングとグラッピングが強くて、上手い。そして何よりもベテランなんだ」と指摘。朝倉の課題を淡々と論じた。

「アサクラはもっとレスリングを強化しなきゃダメだろうね。もちろん柔術も。彼は寝技が得意じゃないのに、クローズドガードで組もうとしていた。もしも、下から攻められないなら、スクランブルから立ち上がる動きをしなきゃいけないのに。打撃でしか勝ち目がないならなおさらだよ」

 組技を受けた朝倉の咄嗟の対応力に苦言を呈したディラショーは、こうも説いている。

「まぁ『UFCにようこそ!』って感じだね。アサクラはもっとあらゆるテクニックを磨く必要があるよ。パンチ力はあるんだから、もっとフェイントを駆使したりしていれば、ティムの横に振るような動きも止められたと思うからね」

 元UFC王者の“ダメ出し”は朝倉の耳にどう響くか。屈辱の連敗からどう立ち直るかが注目される。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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