<第107回全国高校野球選手権大会:日大三4-2県岐阜商(延長10回タイブレーク)>◇21日◇準決勝◇甲子園 4強で唯一…

<第107回全国高校野球選手権大会:日大三4-2県岐阜商(延長10回タイブレーク)>◇21日◇準決勝◇甲子園

 4強で唯一の公立校、県岐阜商(岐阜)の快進撃がついに止まった。準々決勝に続く大接戦となりタイブレークの末に敗戦。春夏連続で準優勝した1956年以来、69年ぶりの決勝進出はならなかった。

 日大三(西東京)の校歌を聴きながら、ベンチ前にいた横山 温大外野手(3年)は思った。「ここに立てて、やってきて良かった。声援に後押しされて、うれしかった。最高の景色でした」。涙はなかった。

 初回に1点の先制を許したが、2回に、みずからの犠飛で同点に追いついた。「なんとか食らいついていこうと思った」。5回には4番・坂口 路歩内野手(3年)の右前適時打で逆転に成功。一時は勝ち越す流れをつくった。

 延長10回タイブレークの末に敗戦となったが、横山に悔いはない。「自分でも、ここまでやれるとは思ってなかった。甲子園の打席ではたくさんの歓声が聞こえてうれしかったし、やりきったという気持ちです」。横山は続けて、感謝の気持ちを口にした。

 「周りのサポートもあったし、感謝しています。こんな自分を使ってくれた監督さんにも感謝したい。甲子園は1試合1試合戦うたびに、人間的にも成長させられた場所だった」。

 生まれつき左手に指がないハンディを克服した。想像できないほどの努力があったことは、甲子園での4試合連続安打や外野手としての捕球、送球のプレーが証明している。「少しでも自分みたいな選手がこの場に立てるんだとということを示せたし、自分みたいな人が頑張ってくれるといいなと思う。勇気とかを与えられる、そういう目標でここまでやってきて、甲子園でも立っていたので、やってきて良かった」と胸を張った。

 将来にも自信がついた。大学進学を口にし「レベル高いところで目標をもってやりたい。大学ではバットを振り込んだり、体を鍛えたりして、周りに負けない力をつくってレベルアップしたい」。

 25年夏甲子園。「主役」の1人でもあった努力家の外野手は、人一倍鍛えた右腕を武器に、さらなる高みを目指すことを決意して甲子園を去った。