<文部科学大臣杯 第77回 全日本大学準硬式野球選手権大会:中央大6-0中京大>◇20日◇1回戦◇野幌総合運動公園硬式野…
<文部科学大臣杯 第77回 全日本大学準硬式野球選手権大会:中央大6-0中京大>◇20日◇1回戦◇野幌総合運動公園硬式野球場
大学準硬式の日本一を決める文部科学大臣杯 第77回 全日本大学準硬式野球選手権大会(以下、全日大会)。大会連覇を狙う中央大は、東海地区の強豪・中京大に6対0で勝利。中央大の最速152キロ右腕・大山 北斗投手(興南出身)が9回無失点の完封勝利を挙げた。
4回までランナー1人も出さない好投。5回に初ヒットを許して一死3塁のピンチを招いたが、「エラーから崩れることが多いので、一番ギアを上げて完璧に抑えないといけない」と自らを奮い立たせた。結果、狙い通りの2者連続三振に斬って取りピンチ脱出。6回以降も中京大打線を封じて87球の完封勝利、マダックスを達成した。
大山本人は「結果的に達成できた」と振り返るが、その実力に10球団が視察済みだという。まさにドラフトの“隠し玉”として密かに注目度を高めている逸材。前評判に違わぬ投球を披露した。
興南時代はエース・山城 京平(現亜細亜大)の2番手になっていたが、準硬式の世界での4年間で覚醒。ともにドラフト戦線に浮上する存在だったが、そんな剛腕がなぜ準硬式にいるのか。
「硬式野球をやるつもりでしたが、3年生の時が新型コロナウイルスの真っただ中で、観てもらう機会などが限られていました。そのなかで中央大の準硬式が熱心に来てくれたので、『ご縁を大切にしよう』と思い、進むことを決めました」
もちろん当時は準硬式については何も知らない。だからチームに合流した時は「大学は自由な時間が増えると思っていたし、サークルかと思っていたので、軍隊みたいだった」と苦笑い。ただ厳しい練習のおかげで、興南時代に最速141キロだったストレートも、152キロまで伸びてきた。
特に最近はスカウトの視察を受けて注目度が高まったことで、上のステージで活躍する意識がより強くなった。そのために必要だと考えて体重は3か月で12キロ増量。82キロになったおかげでストレートの平均球速も「140キロ中盤くらいまで上がってきた」と成長の手ごたえもある。
他にも「リリーフ登板が多かったので、ピンチでの精神力や試合を作る能力も磨かれた」と大山は振り返る。だが上のステージ、硬式野球に復帰するにあたって、まだまだ実力不足であることは自覚している。
「もっと実力をつけないといけないと思っていますが、社会人から硬式野球に戻った先輩に聞くと、変化球のキレやコースに決めること。甘いところに失投すれば打たれることは聞いています。また今日は低め徹底で打たせて取ることを意識したので良かったですし、ギアを上げれば空振りは取れますが、そうでないときにストレートで空振りが取り切れていないことも課題だと感じています」
気になる進路は「まだ決まっていない」ということで明言はせず。ただ今大会が集大成であることは間違いない。「2連覇をしたい」と大山も優勝に対して闘志を燃やしている。
ご縁で飛び込んできた大学準硬式で、ドラフト候補に挙げられるまで成長した怪腕。2連覇という結果で大学準硬式に恩返しをして、次のステップを踏むことが出来るか。