<秋季愛知県大会 知多地区予選一次リーグ戦:東海樟風11―5半田工科>◇18日◇阿久比スポーツ村野球場 一般的な公立校で…

<秋季愛知県大会 知多地区予選一次リーグ戦:東海樟風11―5半田工科>◇18日◇阿久比スポーツ村野球場

 一般的な公立校で、特別に野球部活動を強化していない学校では、部員確保が一つの大きなテーマとなっている。東海樟風は、この大会はぎりぎりの人数での戦いとなっている。半田工科も、一時期は合同チームとしての参加を余儀なくされていたが、石川 裕章監督も、何とか部員確保しようといろいろな声掛けをしていきながら、このところは何とか部員を確保できている。

 そんな状況での、両チームの戦いである。15校が参加した知多地区は今季の大会は3ゾーンに分かれて、5校ずつのリーグ戦となっている。半田工科は半田に勝って1勝2敗。東海樟風はここまで勝ちがなく3敗という状況だ。半田工科は、勝てば翌日の3校によるタイブレークのみとなり、2位、3位決定リーグに挑むことになる。そのことも見据えながらの戦いとなった。

 ところが試合は、既に県大会進出の希望はなくなっている東海樟風が、伸び伸びとした試合を展開する。初回、2回と複数得点で主導権を握ると林 拓紀監督も「スタミナだけはあるので期待している」という、打っても1番の浅田 銀河投手(2年)が、5点を奪われつつも完投。球数を意識することなく、最後までスタミナを切らさずしっかりと投げ抜いた。そして、打線も積極的に打って行って、先の塁を奪っていく姿勢も見せて逃げきった。

 林監督は、「毎日練習してきたのだから、やっぱり一つは勝たんといかんでしょう」と、新チームとなってのチーム初勝利を喜んでいた。特に、知多地区は今季一次予選はリーグ戦ということなので、確実に4試合はこなしている。そうした中で、試合にも慣れていき、まさに試合をしながら成長していく形が取れるのはいいことであろう。

 打っては4番の春日 愛大内野手(2年)左利きで、外野手グラブでの守りだったけれども、上手に打球も処理していた。このあたりも、試合をこなしていきながら馴れていき、上手くなっていっているのだろうなと思わせるものだった。とりあえず、秋季大会はこれで終わりにはなるが、その後に全尾張大会の予選もある。この勝ちで、チームとしても確実に一歩、上へ進んだのではないだろうか。

 先への可能性を残しながらの試合だった半田工科は、今大会は18人登録。一時のチームを維持していくのが精いっぱいという状況は脱却したが、石川 裕章監督は、「たまたま、何とか数は揃ってきても、キャッチボールもおぼつかないような子たちから導いていかないといかんわけですから、それはそれでしんどいですよ」と言いつつも高校野球の部活動としての原点でもあるという思いだ。

 これこそが、裾野の部分の現実でもあり、多くの一般的な学校が取り組んでいかなくてはならないことでもあるのだろう。