(19日、第107回全国高校野球選手権大会準々決勝 県岐阜商8―7横浜=延長11回タイブレーク) 春の王者が追い詰めら…

 (19日、第107回全国高校野球選手権大会準々決勝 県岐阜商8―7横浜=延長11回タイブレーク)

 春の王者が追い詰められている。甲子園に詰め掛けた3万6千人の大観衆は興奮状態だった。7―7で迎えた延長十一回タイブレーク。県岐阜商は前の回の好機に代打を送られたエース・柴田蒼亮投手(2年)の後継に背番号11の和田聖也投手(2年)を送り込んだ。

 投げたくてうずうずしていた。公式戦は岐阜大会3回戦の7月21日以来。「めちゃくちゃたくさんお客さんがいる。やったろう」。登板後も、「緊張はなく、自分のリズムで投げられました」。

 気持ちの余裕があった。初回からブルペンで投球練習を続け、甲子園の雰囲気に慣れることができた。さらにこの試合で16安打を放った味方打線の存在だ。「もし点を取られても裏の攻撃で取り返してくれるだろう」

 タイブレークで走者2人を背負う重圧の中での登板。直球やスライダーを制球良く投げ込み、的を絞らせない。打者3人をわずか7球で零封し、ガッツポーズでベンチに帰った。後は強力打線の出番だった。

 大会前から横浜との対戦を心待ちにしていた。春の選抜で優勝した横浜をテレビで見ながら、「夏も絶対来るだろうな。優勝を狙うならいつかは対戦する相手だ」と感じたという。

 だが、同級生の柴田投手が安定していることもあり、登板機会はなかなか巡ってこなかった。

 横浜戦の登板を言い渡されたのは前夜。藤井潤作監督は「何人かで銭湯に行ったら、和田が思いのほか冗舌で。『こいつコミュ力が上がったな』と。それもあって投げさせました」と明かす。投球も含め指揮官に成長を感じさせ、聖地での登板を引き寄せた。

 滋賀県との県境に近い岐阜県垂井町の出身。中学時代は軟式野球をしており、入学後にめきめきと実力をつけた。

 次戦の相手は、打力を鍛え上げることで知られる「強打の三高」こと日大三(西東京)。勝てば決勝だが、冷静だ。

 「頂点を考えるのはまだ早い。準決勝はまたこのような試合になると思う。一戦必勝で優勝を目指したい」(高原敦)