(19日、第107回全国高校野球選手権大会準々決勝 京都国際4―11山梨学院) 一回、1死二、三塁の好機で、4番・清水…
(19日、第107回全国高校野球選手権大会準々決勝 京都国際4―11山梨学院)
一回、1死二、三塁の好機で、4番・清水詩太(うた)さん(3年)にエンドランのサインが出た。走者が投球と同時にスタートを切る作戦だ。三塁走者は、内野ゴロでも生還できる可能性が高いが、空振りをすると、アウトになる恐れが強い。
「なんとしてもバットに当てる」。たたきつけた打球は三ゴロとなり、その間に三塁走者が生還。先制点を呼び込んだ。
昨夏、レギュラーの三塁手として日本一に貢献。新チームでは主将を任されたが、秋の府大会は16強止まり。「まだチーム全体を見られる器ではない」と主将を外された。
迎えた夏の京都大会。準々決勝以降は4番に座り、打率4割超、2年連続の甲子園へと導いた。
昨夏は「気持ちが高ぶり、体が浮くほど緊張した」という甲子園の舞台。今年は緊張こそなくなったが、思うような結果を出せず、苦しんだ。それでも「勝たせるのが自分の役割」と、健大高崎戦では先制のスクイズを決めるなど「つなぎの4番」を全うした。
八回の打席前、小牧憲継監督から「今まで厳しいことを言ってきた。最後は楽しむことを許可する」と声をかけられた。最後の打席は死球だったが、清水さんは「自分らしく、泥臭く終われてよかった」と笑った。
卒業後はプロ志望届を出す決意を固めている。清水さんは「夏が終わってからが大事。最後までやりきりたい」と、新たな舞台を見据えていた。(木子慎太郎)