◇国内男子◇ISPS HANDA 夏に爆発どれだけバーディ取れるんだトーナメント 最終日(17日)◇御前水GC (北海…

2023年のフランスOPは好位置で最終日を迎えたが(Luke Walker/Getty Images)

◇国内男子◇ISPS HANDA 夏に爆発どれだけバーディ取れるんだトーナメント 最終日(17日)◇御前水GC (北海道)◇6932yd(パー72)◇雨(観衆761人)

2023年9月の「カズーオープンdeフランス」。比嘉一貴は最終日を1打差3位と絶好の位置で迎えた。「74」とスコアを落として6位でフィニッシュ。勝ったのは4打差から出た久常涼だった。

当時21歳で青木功松山英樹に続く日本人3人目のDPワールドツアー(欧州ツアー)優勝を飾った久常は、同シーズンのルーキー・オブ・ザ・イヤーを受賞。年間ポイントランキング上位の資格で翌年からPGAツアーに参戦し、今季もシード選手として最高峰の舞台を戦っている。

2017年にプロ転向し、22年に27歳で日本ツアーの賞金王に輝いた比嘉も“出世”は早い方だが、久常は猛烈なスピードで階段を駆け上がっていった。「久常は(日本ツアーで戦う)権利も捨てて、向こう(海外)でやるって決めてやっていた。こっち(国内)もあっち(海外)も…とやっていた僕は中途半端だったなって。そういう覚悟の違いは、やっぱり彼は強いなと思いました」

比嘉自身、23年は賞金王の看板を背負って積極的に海外に挑んだシーズンだった。「マスターズ」をはじめとするメジャー3大会に加え、推薦でPGAツアーにもスポット参戦。前年の日本ツアー賞金ランキング上位3人への欧州の資格付与が始まった年でもあり、メジャーを含めて20試合に出場したが、シード確保にも届かなかった。「予選すら、なかなか通らない時期も続いて。僕の人生で(それだけ)予選落ちが続くことが、あんまりなかった。ちょっと(心を)砕かれたというか、苦しい時間でした」と振り返る。

厳しい現実を突きつけられても、海外で戦うことを諦めていない。「うまくいかない時期は長かったですけど、下手になっているなと思うことはなかったんです」。地道なトレーニングを続け、クラブセッティングも見直すことで今季ドライビングディスタンスは297.28yd。昨季から13yd近く飛距離を伸ばした。記録的なバーディ合戦を制した今大会のコースは、必ずしも得意ではなかったという洋芝だった。

「プロスポーツでやっている以上、現状維持で満足しちゃダメなんだなって」。シードを持つアジアンツアーのインターナショナルシリーズでLIVゴルフのホアキン・ニーマン(チリ)と一緒にプレーする機会があり、そのレベルの高さに衝撃を受けた。3年ぶりのタイトルを掲げた直後も、賞金王奪還より、視線は秋のインターナショナルシリーズに向く。シーズンを終えたLIVのメンバーも参戦が見込まれる試合。そこで勝ち切れる強さを欲してやまない。(北海道苫小牧市/亀山泰宏)