【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】◆知っておきたい! 血統表でよく見る名馬【キングヘイロー】…

【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】

◆知っておきたい! 血統表でよく見る名馬

【キングヘイロー】

 現役時代に高松宮記念、中山記念、東京新聞杯、東京スポーツ杯3歳Sを勝ちました。皐月賞とマイルCSでいずれも2着、有馬記念でも4着となっているので、短距離専用馬だったわけではありません。

 父ダンシングブレーヴ(インターナショナルクラシフィケーションで史上最高値の141ポンド)、母グッバイヘイロー(米GIを7勝)という、80年代に大活躍したヨーロッパとアメリカの名馬同士を組み合わせた超良血馬。それだけでなく、「ドローン≒ヘイロー≒サーアイヴァー3×2.3」という異様な凝縮を抱えているため、きわめて影響力の強い名血となりました。ドローン(Drone)、ヘイロー(Halo)、サーアイヴァー(Sir Ivor)は、いずれも瞬発力やスピードを特長とする血で、血統構成がよく似た“相似な血”です。たとえば、ディープインパクトはヘイロー≒サーアイヴァー2×4という相似な血のクロスを持っています。

 父としてカワカミプリンセス(オークス、秋華賞)、ローレルゲレイロ(高松宮記念、スプリンターズS)、メーデイア(JBCレディスクラシック)を出しましたが、総合種牡馬ランキングでは14位が最高順位(2006年)。しかし、母の父としてはイクイノックス、ピクシーナイト、キングズソード、ディープボンドなど次々と大物を送り出し、現代の重要血脈のひとつとなっています。この血を持っていること自体が大きなアドバンテージといってもいいでしょう。キングヘイローを抱えたイクイノックスやピクシーナイトが種牡馬となっているので、いずれキングヘイローのクロスを持つ活躍馬も現れるはずです。

◆血統に関する疑問にズバリ回答!

「アロヒアリイは凱旋門賞でも好勝負になりますか?」

 8月16日、日本調教馬アロヒアリイがギヨームドルナノ賞(仏GII・芝2000m)を逃げ切りました。順調であれば10月5日の凱旋門賞に駒を進めることになります。

 次走で戦う相手は今回とはレベルが違いますし、2400mは初距離で、雨が降りやすい時季だけに力の要る馬場コンディションとなることも十分考えられます。ただ、血統的には多少の道悪であればこなせるタイプで、パリロンシャン競馬場も合うのではないかと感じます。

 母の父オルフェーヴルは現役時代に三冠を制したほか、凱旋門賞で2着2回(2012、13年)という成績を残し、同コースで行われたフォワ賞(GII)を連覇しました。「母の父」としての成績はきわめて優秀。2010年以降、母の父として500走以上した155頭の国内繋養種牡馬のなかで、オルフェーヴルの連対率19.8%はナンバーワンです。

 父ドゥラメンテは札幌の洋芝を得意としており、アロヒアリイ自身は凱旋門賞馬トニービンを4×4で持ちます。日本の馬場よりもむしろ海外の洋芝のほうが向くのではないか、という配合構成です。成長力のある血統でもありますから、3歳夏を越して力をつけている可能性はあるでしょう。どこまでやれるか楽しみです。