グッドマンとの打ち合いを何とかモノにしたボール(C)Getty Images サウジ決戦での凡庸な内容は、王者の評価を急…

グッドマンとの打ち合いを何とかモノにしたボール(C)Getty Images
サウジ決戦での凡庸な内容は、王者の評価を急落させた。
現地時間8月16日、サウジアラビアでボクシングのWBA世界フェザー級タイトルマッチが行われ、王者のニック・ボール(英国)は挑戦者のサム・グッドマン(オーストラリア)に3-0(117―111、118―110、115―113)で判定勝利。3度目の防衛に成功した。
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勝つには勝った。互いに多くのパンチを応酬する接戦の中でボールはスイッチを交えながら強打を叩きつける。ただ、フィジカルの強さを生かしたボクシングも、左ジャブを利したテクニカルなスタイルを構築したグッドマンを打ち崩すには至らなかった。
1階級下を主戦場としてきたグッドマンを圧倒できなかったために、ボールへの世間の見方はシビアなものとなっている。米ボクシング専門サイト『3Kings Boxing Worldwide』は「ニック・ボールがナオヤ・イノウエと戦うには力不足だ」と銘打った記事を掲載。「表向きの判定は優勢に見えたが、実際にはグッドマンの安定したジャブと冷静な攻撃が、試合の大半でボールを苦しめた」と試合を分析。そして、王者への疑問を投げかけている。
「グッドマンには、イノウエのようなスピード、正確さ、そして爆発的なパワーもない。それにもかかわらずボールを苦しめ続けた。そこに厄介な問題が浮かび上がる。ボールがグッドマンに苦戦したなら、いったいどうやってボクシング界屈指の強豪であるイノウエのダイナミックな攻撃に対処するというのだろうか」
もっとも、以前から将来的な井上とのマッチアップを公言してきた当人は、批判を意に介していない。地元紙『Liverpool Echo』のインタビューに応じた28歳は、「正直言って、最高のパフォーマンスではなかったと思う。でも、一番大事なのは、俺たちが仕事をやり遂げたことだ」と猛省した上で「イノウエとの話は何度も出ているし、誰もが実現を望んでいる。実現させたい」と語った。
このコメントを受けた同紙は「ボールは、グッドマンにリヤドで敗れることがイノウエとの壮大なチャンスを損なうことも知っていた」と指摘。「現在スーパーバンタム級4団体統一に君臨する日本人ボクサーは、4つの異なる階級で世界タイトルを獲得するまでの道のりで、あらゆる対戦相手を圧倒してきた。彼は『ボクシング界のジョゼップ・グアルディオラ』であり、ボールはそんな強敵との対決に目を向けているのだ」とサッカーの母国らしく伝えた。
果たして、モンスター(井上の愛称)との頂上決戦は実現するのか。いずれにしても、9月に控える井上の防衛戦の行方は、世界的な関心事となりそうだ。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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