ライバルストーリーは競馬の醍醐味の一つだ。近年のスプリント戦線でいえば、ダノンスマッシュ&タワーオブロンドンの激突が…

 ライバルストーリーは競馬の醍醐味の一つだ。近年のスプリント戦線でいえば、ダノンスマッシュ&タワーオブロンドンの激突が忘れられない。約3年の間に9度も対戦。鎬を削りながら、揃ってGI馬に上り詰めた。今回はただ1回だけ2頭がワンツーを果たした19年のキーンランドカップを振り返りたい。

 前年のNHKマイルC以来、約1年3カ月ぶりの直接対決となった一戦、1番人気に推されたのはダノンスマッシュだった。前年秋から京阪杯、シルクロードSと重賞を2連勝。しかし高松宮記念で4着となったのち、函館スプリントSは競走除外に。ここは川田将雅騎手を新パートナーに迎え、心機一転で迎えるレースだった。そして2番人気がタワーオブロンドン。春の京王杯スプリングCで3つ目のタイトルを獲得。前走の函館スプリントSでは圧倒的1番人気ながらまさかの3着だったが、多くのファンは巻き返しを信じていた。

 レースは前半3Fが33秒2のハイペースで流れた。ダノンスマッシュは中団から。そこから3馬身ほど後ろにタワーオブロンドンが構えた。そして勝負の直線、ダノンスマッシュは外に進路をとってラストスパート。一方のタワーオブロンドンはC.ルメール騎手が内に進路をとった。さらに大外からはリナーテとライトオンキューも強襲。横一線の追い比べになるかと思われたが、残り100mからダノンスマッシュがグイッと抜け出して先頭でゴール。一方のタワーオブロンドンはダノンよりも1kg重たい58kgを背負いながら、2着を死守した。

 この後も2頭は何度も大舞台で相まみえた。先にGI馬となったのはタワーオブロンドン。同年のスプリンターズSでダノンスマッシュを3着に下し、スプリント王の座に就いた。一方のダノンスマッシュも翌年の香港スプリント、翌々年の高松宮記念とGIを連勝。父ロードカナロアの後継者として確固たる地位を築いてみせた。

 現在は2頭ともに種牡馬として活躍している。今度はそれぞれの産駒が、大舞台で名勝負を繰り広げてくれる時を心待ちにしたい。