(17日、第107回全国高校野球選手権大会3回戦 沖縄尚学5―3仙台育英 延長十一回タイブレーク) 2点差を追う延長十…
(17日、第107回全国高校野球選手権大会3回戦 沖縄尚学5―3仙台育英 延長十一回タイブレーク)
2点差を追う延長十一回タイブレーク、2死三塁。打席に立ったのは、この日、ずっと投げ続けた仙台育英のエース吉川陽大投手(3年)だった。
一打出れば、1点差に迫る。だが、涙が止まらない。拭っても、拭っても。「この仲間とまだまだ野球をしたい」。そんな思いが、あふれ出す。フルカウントまで粘った8球目、はじき返した打球は、二塁手の手から一塁手のミットへ――。
ヘッドスライディング後も、しばらく起き上がれず、肩を震わせた。それまでサポートしてくれた控えの仲間たちの顔が次々と思い浮かんだ。
「仲間の思いをこの1球に 仲間のために甲子園」。野球ノートの表紙にそう書いた。普段は淡々と投げるが、この日はピンチを三振で切り抜けるとマウンド上で大きなガッツポーズを見せた。
「日本一激しいチーム内競争」の中で「お前の良いプレーが俺の幸せだよ」と言ってくれる部員がいた。甲子園に来てからもメンバー外の3年生が嫌な顔を一切せず練習をサポートしてくれる姿を目に焼きつけてきた。
「自分がここまでやってきたことを全部出そう」。そんな思いで腕を振り続けた。ただ、延長十一回表の143球目。甘く入ったカットボールを左翼方向へ運ばれた。
「この夏は死ぬ気でやろう」と、ようやくたどり着いた甲子園の舞台。目標の日本一には及ばなかった。それでも「仙台育英じゃなかったら、頑張れていなかった。この仲間がいてこその3年間だった」。(岸めぐみ)