(17日、第107回全国高校野球選手権大会3回戦 沖縄尚学5―3仙台育英 延長十一回タイブレーク) 「自分のペースで冷…

 (17日、第107回全国高校野球選手権大会3回戦 沖縄尚学5―3仙台育英 延長十一回タイブレーク)

 「自分のペースで冷静にアウトを取っていこう」。二回、同点に追いつかれた場面で伝令に走った仙台育英の佐々木義恭主将(3年)は、あえて明るく語りかけた。選手たちは落ち着き、後続を断ち切り最小失点で切り抜けた。

 佐々木主将ら3年は3年前の全国制覇を見て入学した世代だ。1年の夏も甲子園で準優勝。「甲子園に出て当たり前」。そんな雰囲気があった。

 だが、チームはその後、甲子園から遠ざかる。「こんなに頑張っても、甲子園にはまだたどり着けないのか」。万全の準備で臨んだ昨秋の東北大会で敗退し、昨春から3季連続で甲子園出場を逃した際、痛感した。

 主将をやめたい。もう投げ出したい。そう思ったこともあった。

 思うように結果が出ない中、部員同士のミーティングで本音をぶつけ合った。「この夏、絶対に甲子園に行くんだ」。再び、気持ちを一つにした。

 元々は1人で黙々と練習に取り組むタイプだったが、私生活の面も含めて厳しく声をかけ、チームをまとめた。

 一方で「仲間思いの温かいチーム」をめざした。須江航監督の「なぜ甲子園に行きたいのか」という問いには「仲間の喜ぶ顔が見たい」と言い続けた。

 自らも途中出場して九回裏に打席に立ち、空振り三振した。20人中15人の選手が出場した総力戦だった。メンバー外の選手もこの試合に向けデータを集め、練習ではバッティングピッチャーをするなどサポートした。「チームが一つのことに向かって一生懸命になる。それはやり切ったと思う」(岸めぐみ)