(17日、第107回全国高校野球選手権大会3回戦 横浜5―0津田学園) 0―0で迎えた三回表1死二塁。先発した織田翔希(…

(17日、第107回全国高校野球選手権大会3回戦 横浜5―0津田学園)

 0―0で迎えた三回表1死二塁。先発した織田翔希(2年)の右前打からチャンスを広げて、為永皓(ひかる)(3年)に打順が回った。「織田が投打で頑張っている。自分も奮起しないと」

 津田学園の好投手・桑山晄太朗(3年)の外角の直球を逆らわずに打つと、打球は三遊間を抜けた。左翼手が後逸した隙に、二塁走者の織田に続き、為永も一気に本塁を陥れた。

 今春の関東大会のあと、ひざのけがで1カ月ほどチームの練習に参加できなかった。治療を受けながら上半身だけでティーバッティングをするなど、できる限りの努力を続けた。6月下旬に復帰してからは居残りで打撃練習を行い、最後の夏に「万全の状態」で戻ってきた。

 父親の聖一さん(60)は佐賀商で夏の甲子園に出場し、駒沢大、社会人でも活躍した。そんな父に憧れ、小学1年から野球を始めた。

 小学生のころ、聖一さんから「ショートの頭上を狙って打て」とアドバイスを受けた。それ以来ボールをひっかけることが減り、今でも打席に立つときはその言葉を意識しているという。

 この打席でも、助言通りの流し打ち。為永は試合後、「父の指導が生きた」と振り返った。

 スタンドで応援していた聖一さんは「ボールに逆らわず良い方向に打った」とほほえんだ。「もう親父は追い越しています。もっと高みに向けてがんばってほしい」とエールを送った。(中嶋周平)