(16日、第107回全国高校野球選手権大会3回戦 京都国際3―2尽誠学園) 九回裏が始まる直前だ。どこからともなく鳴った…
(16日、第107回全国高校野球選手権大会3回戦 京都国際3―2尽誠学園)
九回裏が始まる直前だ。どこからともなく鳴ったスタンドの手拍子が次第に大きくなっていく。昨夏の王者に挑む尽誠学園を後押しするかのように、球場全体が独特の雰囲気に包まれた。
「ヒットを打たれたら、一気に相手に流れがいきそう」「これが甲子園」。京都国際のエース左腕の西村一毅(いっき)はその光景を見渡した。だが、ひるまない。
「そうはさせるか」
マウンド上で1人、心を静めた。1番から始まる相手の攻撃を3者連続で空振り三振に。1点のリードを守り切った。
夏連覇に向けて、京都国際はこの3回戦が「鬼門」だった。初戦となった優勝候補の健大高崎(群馬)との2回戦(13日)は、西村が160球で完投。中2日の疲労を考慮して、酒谷佳紀を先発マウンドに送った。京都大会で登板2試合の右腕で勝負に出た。
酒谷が五回に2死満塁のピンチを迎えても、チームは我慢する。相手の4番に逆転の2点適時打を浴びたが、小牧憲継監督は言う。
「勝ち上がっていくには、酒谷の成長が不可欠。投手1人では夏は勝てない」
京都国際は昨夏、最上級生の左腕・中崎琉生に負けじと、西村が大会中に急成長。「二枚看板」の活躍で初の頂点に立った。
この日は、六回から救援した西村の投球でペースを握り返し、八回に再逆転。「酒谷が粘ってくれたおかげで最後まで余力があった」と、最後は重苦しい雰囲気も力でねじ伏せた。
エースに極度の負担をかけず、思惑通りに8強入り。史上7校目の快挙が視界に入ってきた。(山口裕起)