ボールとの試合に向けて意気込むグッドマン(C)Getty Images しゃにむにベルトを目指してきた若武者が、前代未聞…

ボールとの試合に向けて意気込むグッドマン(C)Getty Images
しゃにむにベルトを目指してきた若武者が、前代未聞のマッチアップに挑む。
来る8月16日、IBF世界スーパーバンタム級1位のサム・グッドマン(豪州)は、サウジアラビア・リヤドで行われる興行のセミファイナルとして、WBAフェザー級王者ニック・ボール(英国)とのタイトルマッチに挑む。いまだ世界戦経験はゼロ。それでも今年6月にフェザー級に階級を上げた26歳は、昇級初戦にして「突貫小僧」の異名を持つ王者との対戦を組まれた。
【画像】目の上がパックリ 痛々しい怪我を負ったグッドマンの近影をチェック
グッドマンにとっては、昇級初戦とはいえプレッシャーのかかる一戦だ。というのも、昨年12月24日に現スーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥(大橋)と東京・有明アリーナで挑戦する予定だったのだが、いずれも試合直前のスパーリングで負った2度の左目上の裂傷により、試合を1か月も延期した上にキャンセル。業界内で「逃げた」というイメージは拭いきれていない。ボールは実力と経験値で自身を上回る難敵だが、爪痕を残したい勝負となる。
無論、本人に「敗北」の二文字はない。米メディア『Boxing Scene』のインタビューに応じたグッドマンは、「俺がボールからベルトを奪って、トップの座というのを確固たるものにするんだ」と断言。「彼は万能な選手だけど、彼に何が足りないかを見せつける」と意気込んでいる。
新たな階級での試合に「いずれフェザー級に上がることは覚悟していた」と語るグッドマンは、世間を騒がせた井上戦からの日々についても「本当に辛かった。今振り返ると、全てが俺を今のこの位置に導いたと思う」と持論を展開している。
「たしかに苦労した。当時は本当に、本当に辛かった。でも、全ては理由があって起こるものだ。だからこそ、今この試合が目の前にあるんだ」
当然ながら価値を高めた上だが、グッドマンと井上の“再戦”も注目はされる。しかし、「もう起こってしまったことにこだわったりはしていない。過去の出来事をくよくよと悩んだり、心配はしていない」とキッパリと言い切る26歳は、「他人の計画なんて気にしていないよ」と力説している。
「今はただ、自分自身とやるべきこと、目の前の仕事に集中している。本当にそれだけだよ。このスポーツを取り巻くすべてのくだらない噂話には興味もないし、自分は聞きたくもない。だってそれは単なる騒音だからね。いいかい? 俺は自分がしなければならないこと、そして幼少期から抱いてきた人生目標を達成することだけを考えているよ」
「『ボールはイノウエよりも簡単だ』と見る人もいるかもしれない。だけど、イノウエとの試合とはスタイル的にはまったく別のものだ。これまで違う挑戦となるんだ。俺はそれぞれの試合をその都度受け止め、最善の準備をして、戦いに備えるだけ。今回もそうしようとしているんだ」
もはや自身の苦心した出来事は過去。全てを消し去って、グッドマンは王者とのサウジ決戦に全身全霊で挑む覚悟だ。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
【関連記事】「最良の道だった」井上尚弥戦から一転してフェザー級に進んだグッドマンに残る怪物への“未練”「もちろん、心の奥底にはある」
【関連記事】【現地発】日本でも話題になった「フェザー級が限界」の真意 井上尚弥が語っていた“目指すもの”「人間の限界はありますから」
【関連記事】最強の怪物にどう挑むか 井上尚弥のダウンを見たアフマダリエフ参謀が説く愛弟子の“利点”「カルデナスよりチャンスはある」