(15日、第107回全国高校野球選手権大会2回戦 東洋大姫路8―4花巻東) 自他ともに認めるマイペースだ。東洋大姫路の…
(15日、第107回全国高校野球選手権大会2回戦 東洋大姫路8―4花巻東)
自他ともに認めるマイペースだ。東洋大姫路のエース木下鷹大(ようた)投手(3年)はマウンドまでゆっくりと走って向かった。
相手は今春の選抜大会準優勝の智弁和歌山を1回戦で下した花巻東。「乱打戦になりそうだな。どれだけ粘れるかだな」と落ち着いていた。
140キロ超の力強い直球をもっているが、「相手打線は直球に強い」と、一回からチェンジアップやカーブを続けて打者の打ち気をそらす。四回まで1安打に抑えた。
五、六回とピンチを迎えた際、靴ひもがほどけたが、タイムを取ってゆっくりと結び直した。「ほどけるってことは、どこかフォームが崩れているのか」と、下半身の動きを見直したという。
普段の木下投手は、練習後や昼食時は仲間と笑いあって楽しく過ごす。ただ、練習になると違う自分が出てくるという。
チームで決めたウェートトレーニングでは1人違うメニューに取り組むことも多い。「自分の意思でやっていない感じがして伸びないと思う」と話す。やるべきことは、1人残って練習する。
昨夏の兵庫大会を前に、右ひじの靱帯(じんたい)を損傷した。それでも「焦りはなかった。照準が選抜大会、夏の甲子園とはっきりと定まった」と気持ちを切り替えた。
自分の意思と向き合ってきた成果が、この夏の投球に出ていると感じている。
九回途中まで10安打を許したが4失点に抑えた。表情を変えることなく、淡々と目の前の打者に集中した。阪下漣投手(3年)にマウンドを譲ったが「ランナーを置いてからの冷静さや粘り強さが成長できたところ」と、手応えを感じていた。
試合後に木下投手は力強く言った。「次も強いチームだと思うが、投手からリズムを作りたい。そして、全国優勝まで上り詰めたい」(原晟也)