(15日、第107回全国高校野球選手権大会2回戦 東洋大姫路8―4花巻東) 東洋大姫路打線の快音に大観衆の歓声と悲鳴が入…

(15日、第107回全国高校野球選手権大会2回戦 東洋大姫路8―4花巻東)

 東洋大姫路打線の快音に大観衆の歓声と悲鳴が入り交じった。

 一回から攻めた。敵失で無死一塁の好機が転がり込み、木本琉惺が「とにかくつなぐ」と犠打を決めて1死二塁。一飛と申告故意四球で2死一、二塁に状況が変わると、5番高田瑠心が強烈な打球で三遊間を破り、先制した。

 その勢いは止まらない。1回戦で智弁和歌山を翻弄(ほんろう)した花巻東の先発左腕を打ち崩した。五回にライナー性の当たりで適時打を放った7番見村昊成は「うちはどの打順でもタイムリーが打てる」と誇った。

 兵庫大会のチーム打率は3割9分6厘。屈強な肉体が繰り出す鋭いスイングは大会直前まで欠かさなかった筋力トレーニングのたまものだ。

 売りは強打だけではない。

 履正社(大阪)で2019年に全国制覇を経験後、3年前に就任したOBの岡田龍生監督は「緻密(ちみつ)な野球」を掲げる。

 肉体改造に重点を置きつつ、「きちんとバントで野球を進めるのが基本的な考え」。送りバントは、1回戦で四つ、この日も四つ。スタメン9人のうち7人が、兵庫大会も含めてこの夏にバントを決めている。

 試合は中押し、だめ押しと最後まで手を緩めず、計11安打で8点を奪った。犠打も記録した見村は胸を張る。

 「走者が出れば手堅くいくし、得点圏に進んだらガンガン振っていく。僕らは強打というより、基本に忠実な野球をしているつもり」

 秋、春と2季連続で近畿大会を制したものの、その間にあった選抜大会は2回戦敗退。鍛えたパワーと小技を融合させた「超攻撃型野球」が、完成した。(室田賢)