赤羽が7月度スカパー!サヨナラ賞に選出された(C)TsutomuBEPPU/CoCoKARAnext ヤクルトの赤羽由紘…

赤羽が7月度スカパー!サヨナラ賞に選出された(C)TsutomuBEPPU/CoCoKARAnext

 ヤクルトの赤羽由紘が8月15日、7月度の「スカパー!サヨナラ賞」に選出された。

 7月21日の広島戦(神宮)、2点を追う9回二死一、三塁から広島のテイラー・ハーンの初球を捉えると、左翼ポール際へ大きな打球を飛ばした。ボールはグラウンドに跳ね返り2人の走者が生還。赤羽は三塁でストップしたが、その後、リプレー検証で打球がポールに当たっていることがわかり、劇的な逆転サヨナラ3ランとなった。

【動画】リプレー検証の末…赤羽由紘が劇的なサヨナラ3ラン!ヤクルト勝利

 赤羽は「打った瞬間はホームランかフェンス直撃かわからない状況だった。リプレー検証に入って、広島の選手の反応だったりとか、そういうのを見て、リプレーの途中でホームランを確信した」と振り返った。

 打席に入る前、次の打者の内山壮真には「つなぐから、あと頼むぞ」と声をかけたという25歳は「つなぐ意識でバッターボックスに入りました」と話し、最高の結果をもたらした。

 努力が生んだ「サヨナラ賞」だった。今季は初めて開幕スタメンで起用されると、そこから7試合連続安打をマーク。しかし、徐々に打撃が低迷し、スタメンを外れる機会も増えた。そんな中で自身のスイングを見直し、7月は月間打率.339と復調。得点圏打率は.545とチャンスでも勝負強さをみせつけた。

 試合前の練習や、打席に入る前などに上から下へ振り下ろすようなスイングを繰り返す赤羽。「(バットの)ヘッドを感じるという意味合いがある」といい、感覚を身体に染み込ませている。提案してくれたのは嶋基宏ヘッドコーチだった。

 嶋コーチは「(シーズンの)最初は結構良くて、壁にぶち当たって、相手も研究してきますからね。どうしても試合にずっと出ていると崩されることは多い。僕もいろんなコーチとかに教えてもらったこととか、その中で赤羽が自分がしっくりくるものをチョイスして続けている」と、これまでコーチ自身が目にしてきた練習法を提案し、その中で赤羽が自分に合ったものを選んだという。

 「(赤羽は)ヘッドを利かすのが上手なバッターなので、飛距離も出るし、逆方向にも打てたんですけど、試合になって、バットに当てたいとか前に飛ばしたいとなると、どうしてもヘッドをうまく使えなくなってきてた」と話す嶋コーチ。この練習を取り入れてから、強い打球が復活した。

 内外野どこでも守れる万能選手だ。ケガで離脱した村上宗隆の穴を埋めるように三塁を守っていたが、村上が復帰すると外野に移り、二塁や遊撃も守った。ポジションが固定されず、ユーティリティゆえの苦労もあるはずだ。

 嶋コーチはそんな赤羽に対して「ユーティリティのまま満足して欲しくないし、もちろん出たところで活躍して、次の日も『赤羽でいこう、赤羽でいこう』と言われる、そういう選手になってもらいたい。まだ若いし、レギュラーを絶対つかむという気持ちで毎日試合に出て欲しい」と期待を寄せる。

 赤羽自身も「レギュラー獲り」へ日々全力を注いでいる。ライバルとなる多くの若い選手が台頭してきたが、今後も努力の成果をグラウンドで証明してみせる。

[文:別府勉]

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