日本では首都・東京にある3つのクラブがJ1で戦っているが、その中で最も苦戦しているのが、FC東京だろう。現在、3クラブ…
日本では首都・東京にある3つのクラブがJ1で戦っているが、その中で最も苦戦しているのが、FC東京だろう。現在、3クラブ中で一番下の「15位」に沈んでいるが、先週末のリーグ戦では、名門・鹿島アントラーズ相手に丁々発止の好ゲームを演じた。それは、今後の「上昇の兆し」なのか? サッカージャーナリスト後藤健生が、試合を中心に徹底分析する!
■「懐かしい名前」が並んだメンバー表
8月10日。久しぶりにFC東京の試合を生観戦に行った。味の素スタジアムでの鹿島アントラーズ戦(J1リーグ第25節)だ。
メンバー表を見ると、FC東京には懐かしい名前が並んでいた。
GKには金承奎(キム・スンギュ)。ヴィッセル神戸や柏レイソルで活躍した後、サウジアラビアのアル・シャバブに活躍の場を移していたが、今年の6月にFC東京に移籍してきた34歳のベテランだ。
室屋は明治大学在学中からFC東京でプレーし、2020年にブンデスリーガのハノーファー96に移籍。この夏、5年ぶりにFC東京に復帰していた。
長友は、まさに室屋の大先輩。明治大学からFC東京に入って日本代表でも活躍した後、イタリアに渡り、セリエAの名門インテル・ミラノで活躍した後、ガラタサライ(トルコ)やマルセイユ(フランス)を経て、2021年にFC東京に復帰。9月には39歳になるが、現在も日本代表に招集され続けている。
CBにも懐かしい顔がいた。
アレクサンダー・ショルツである。
元デンマーク代表のショルツは2021年に浦和レッズに加わって副キャプテンを務めるなど守備の中心として活躍していた。2024年にカタールのアル・ワクラに移籍したものの、カタールではコンディションを崩して活躍できず、再びJリーグに戻ってきたという。
■「ベテラン勢」が力を発揮した好試合
つまり、GKとDF4人のうち、若手は23歳の岡哲平だけで他は全員が30歳以上のベテラン(出戻り組)という構成だ。ちなみに、岡も明治大学出身だから、DF4人のうち3人が明治大学出身ということになる(MFの佐藤恵允も明治大学)。
そのほか、MFの橋本拳人はFC東京下部組織からトップ昇格を果たした後、2020年にFCロストフ(ロシア)に移籍。ロシアのウクライナ侵略の後、2022年にヴィッセル神戸で短期間活躍した後、スペインに活躍の場を移し、今年の1月にFC東京に戻ってきた。
俵積田晃太といった売り出し中の若手(21歳)もいるし、1トップのブラジル人マルセロ・ヒアンも23歳になったばかりだが、懐かしい顔でいっぱいのFC東京だった。
そして、そうしたベテラン勢が力を発揮して、首位争いを演じている鹿島アントラーズと素晴らしい戦いを演じてみせたのである。
FC東京の試合で、これだけエキサイティングな試合を見たのは、いったい、いつ以来だったろうか……。
■キックオフ直後から「攻め合い」に
試合はキックオフ直後から攻め合いとなった。
2分には長倉幹樹とのパス交換からマルセロ・ヒアンがシュート。相手DFに当たったボールは、ポストを直撃してCKとなった。
すると、3分には鹿島が右サイドから攻撃。チャヴリッチからのパスをオーバーラップした右SBの小池龍太が受けてクロスを入れるが、ここは金承奎が確実にキャッチ。15分には右SB小川諒也のドンピシャのクロスをレオ・セアラがヘディングで狙うが、金承奎がCKに逃れた。
鹿島は前線のレオ・セアラや鈴木優磨へのロングボールを使う一方、ミドルレンジのパスをつないでポゼッションの時間を増やしていく。
だが、FC東京も守備の強度を上げて対抗し、21分にはコンディションの良さそうな長友のクロスからFC東京がCKを獲得。その後は、FC東京のチャンスが続いた。25分にはショルツからのパスを受けた長友が右サイドでDF2人をかわしてクロスを入れると、長倉が飛びこんでニアサイドでフリックしてゴールを狙ったが、鹿島のGK早川友基がなんとかCKに逃れるビッグチャンスもあった。
FC東京の攻勢は40分まで続いたが、ゴールを割ることはできず、スコアレスのままハーフタイムを迎えることになった。