(12日、第107回全国高校野球選手権大会2回戦 尽誠学園3―0東大阪大柏原) 両チーム無得点で迎えた五回裏、尽誠学園…
(12日、第107回全国高校野球選手権大会2回戦 尽誠学園3―0東大阪大柏原)
両チーム無得点で迎えた五回裏、尽誠学園は2死一、二塁で先制のチャンスを迎えた。
「ここまで(先発の)広瀬が頑張ってくれた。(ここで)1本打とう」
そう思い、打席に立ったのは木下立晴(りゅうせい)選手(3年)だ。
相手は、香川大会で打撃が好調だった直前の打者を申告敬遠し、自分との勝負を選んでいた。「悔しさをもって打席に入ることができた」
直球を狙い、レフト前に運んで、均衡を破るチーム待望の先制打となった。その後も広瀬賢汰投手(3年)の2点適時打で自らも生還。この回3点を奪った。
愛知県の出身だ。尽誠学園を選んだのは、父・元揮(げんき)さん(43)の母校だったから。父が1998年の夏の甲子園大会に出場した話を聞いて育ち、迷うことなく尽誠学園への進学を希望した。
しかし、父は反対した。同校は2016年夏の大会出場を最後に、甲子園からは遠ざかっていた。それでも「(父と)同じユニホームを着てプレーしたい」。最後は、その思いを父は受けとめてくれた。
帽子のつばには「勇往邁進(まいしん)」の文字がある。父に書いてもらったもので、「失敗を恐れず、挑戦しよう」との思いが込められている。この言葉を読み上げて、守備に入るのがルーティンだ。
「父も立った舞台で活躍できた。次も感謝の気持ちをもって臨みたい」と話した。(木野村隆宏)