(12日、第107回全国高校野球選手権2回戦 岡山学芸館3―0松商学園) 完封した岡山学芸館の左腕青中陽希が「あれは大き…
(12日、第107回全国高校野球選手権2回戦 岡山学芸館3―0松商学園)
完封した岡山学芸館の左腕青中陽希が「あれは大きかった」と振り返る1球がある。
1点リードの二回1死一、三塁。松商学園の9番久保田悟が左打席に立った。
その初球だ。打者がバットを寝かせる動作が「スローモーションに見えた」。スクイズ――。背中側にいる三塁走者の動きは見えない。打者からなるべく遠いところに思い切り投げた。
捕手の佐藤滉起も瞬時に反応した。「1球目からあるかも、と」。目いっぱいミットを伸ばして捕球。打者はバントを空振りし、スタートを切っていた三塁走者をアウトにした。青中は「佐藤がよく捕ってくれた」。
出場校最多31犠打飛の松商学園は、スクイズで着実に得点することで長野大会を勝ち上がった。松宗勝監督は「あそこでしっかり点をとれていれば逆の展開になった」と脱帽した。
その後も丁寧に打ちとった青中が「佐藤を信じて投げきれた」と言えば、佐藤は「青中がよく踏ん張ってくれた」。最後の打者を抑え、バッテリーは笑顔で小さくタッチした。(室田賢)